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翼間流れの均一化に着眼した車両空調用小型高性能送風機の開発と実用化

イメージデローテータ法を用いた高速PIV計測装置

図1 イメージデローテータ法を用いた高速PIV計測装置

翼間流れのPIV解析結果

図2 翼間流れのPIV解析結果

小型高性能送風機

図3 小型高性能送風機

翼前縁剥離低減技術

図4 翼前縁剥離低減技術

軸方向均一化技術

図5 軸方向均一化技術

回転方向均一化技術

図6 回転方向均一化技術

1.概要

 車両空調装置[HVAC(Heating, Ventilating and Air-Conditioning System)]は送風機と熱交換器,風路切替ドアなどを組み込んだユニットであるが,車両の小型軽量・省燃費のニーズに応えるため,HVAC においても小型と高性能の両立が課題となっている.一般に車両空調用送風機には,小型かつ高圧力が特徴のシロッコファンが用いられるが,送風機のさらなる小型化はファン翼間の流速増加による効率低下・騒音増加を伴い,小型と高性能を両立するための最大の課題となっている.この課題を解決するため,回転翼間流れを計測する独自技術「イメージデローテータ法を用いた高速PIV(Particle Image Velocimetry)計測装置」を開発し,シロッコファンの翼間流れを詳細に調べることで,「翼間流れの均一化に着眼した小型高性能送風機」を開発し実用化することができた.

2.技術の内容

 「イメージデローテータ法を用いた高速PIV 計測装置」は図1 に示すように,ファンの回転軸上に像回転プリズムを配置し,これをファン回転数の1/2 で回転させることで,ファンの静止像を得ることができる.流れの可視化にはトレーサ法を用い,高速度CCD カメラで1 つの翼間を拡大撮影した画像をPIV解析することで,翼間流れの時間連続的な速度場計測を可能とした.この装置を用いてシロッコファンの翼間流れを調べた結果,図2 に示すように,翼前縁で剥離した流れが回転に伴って変動すること,ノーズ近傍での小スケールの渦の発生消滅が生じていることなどがわかった.これらの知見に基づき翼間での剥離や渦の発生を抑制し均一化するため,翼間流れを均一化する3 つの技術を考案し,小型高性能送風機として実用化した(図3).

 1 つ目は翼前縁を薄肉かつ角形状とし,翼前縁の剥離流速の低減および剥離点の前縁角部への固定をねらった(図4).また翼前縁に対し中間部を厚くすることにより,剥離流れの再付着を促進し,剥離領域を縮小することを可能とした.2 つ目は吸込み口を翼上部への流入を促進するガイド形状とすることにより,翼間流れを回転軸方向に均一化している(図5).3 つ目はスクロールケーシングのノーズギャップを部分的に大きくすることにより,翼間流れを回転方向に均一化している(図6).

 これらの翼間流れ均一化技術を適用することにより,翼間の流動損失と流体騒音の発生を抑制することができ,小型化と高性能化の両立を可能とした.

3.まとめ

 今回開発した「小型高性能送風機」はHVAC 向けとして2008 年11 月より順次展開中である.また「翼間流れ均一化技術」を適用した製品は省電力・低騒音のニーズに応えるため,HVAC のみでなくHV 車の電池冷却システム向けにも今後展開していく予定である.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2010年、酒井雅晴((株)デンソー)、落合利徳(同左)、三石康志((株)日本自動車部品総合研究所)に「日本機械学会賞(技術)」を贈った。

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キーワード

高速PIV計測、シロッコファン、翼間流れの均一化、車両空調装置(HVAC)、低騒音化、流体機械、送風機、流体計測・可視化、流れの制御、冷凍・空調
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