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少量かつ負荷変動に対応できる小型蒸気発電装置の開発

小型蒸気発電装置の適用先

図1 小型蒸気発電装置の適用先

小型蒸気発電装置の構成

図2 小型蒸気発電装置の構成

小型蒸気発電装置の発電出力

図3 小型蒸気発電装置の発電出力

小型蒸気発電装置の圧力制御特性

図4 小型蒸気発電装置の圧力制御特性

1.概要

 本小型蒸気発電装置は,小さい規模で蒸気を利用するプロセスに対して省エネルギーを実現する装置である.小型蒸気発電装置分野では,これまで少量かつ負荷変動する蒸気に対して,高い効率でエネルギーを回収できる発電装置の開発が,大きな課題であった.図1 に示すように従来はボイラで蒸気を製造し,必要な温度となるように減圧弁で圧力調整された蒸気が加熱・乾燥などのプロセスで利用されている.本装置は,減圧弁と同様に蒸気を減圧する.しかし,膨張機内で膨張する蒸気から回転力を得て,軸端で蒸気のエネルギーを電気に変換する.つまり,従来は利用されなかった減圧弁による減圧過程で蒸気からエネルギーを回収する装置を開発した.

 本装置は,国内で約25 万台が稼動している小型貫流ボイラのユーザを主に対象にして,3.0t/h 程度の蒸気から100kW の電気を取り出す装置である.

2.技術の内容

 図2 に本装置の構成を示す.ボイラから供給された蒸気は,ドレン分離機でドレンを除去し緊急遮断弁と流量調整機能を合わせもつ流量調整弁を介してスクリュー式の膨張機に導入され,等エントロピ膨張によるエネルギーは減速機,発電機によって電気エネルギーに変換される.膨張後の蒸気は,スクリュー式の膨張機で回転数制御され,設定した圧力となって吐出する.

 本装置の特長は,スクリュー式の膨張機を採用したこととその制御によって,蒸気流量および装置前後の蒸気圧力の変動に対応しながら,比較的少ない蒸気量でも高い効率で発電できることである.

 図3 に本装置の発電出力を示す.横軸は蒸気流量,縦軸は発電出力を示す.本装置で採用する膨張機は,スクリュー式の容積型であるためインバータによる回転数制御で低流量からの発電が可能である.また,速度型の軸流式,ラジアル式などに対して広範囲な流量で発電出力が得られることが本方式の特長である.本装置の膨張機は,従来よりも小流量で高い効率(タービン効率×発電機にかかる効率),65%を実現する.

 図4 に本装置の圧力制御特性を示す.横軸は時間,縦軸は圧力を示す.図に示すように吸気圧力を0.8MPa から0.4MPa まで変化させても,排気圧力変動は,0.01MPa 程度に収まり,これは,従来の減圧弁と同等の制御性を持つ事を示している.

3.まとめ

 今回開発した小型蒸気発電装置は,「スチームスター」として2007 年6 月より販売を開始し,17 台を受注し稼動をはじめている.

 最後に,開発した小型蒸気発電装置の特長を以下に列挙する.
1)蒸気を加熱・洗浄などに利用する規模の比較的小さい工場においても,省エネルギーを実現する.
2)従来利用されなかった蒸気の減圧過程に着目し,広く利用できる電気エネルギーに変換している.
3)100kW と小型の発電装置でありながら,高い発電効率を実現する.
4)1 年間の稼動で440 トン程度のCO2が削減できる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2009年、三宅俊也((株)神戸製鋼所)、松隈正樹((株)神戸製鋼所)、松井孝益((株)神戸製鋼所)、中村 元((株)神戸製鋼所)、桑原英明((株)神戸製鋼所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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