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熱変位補償システムを組み込んだリニアモータ駆動門形マシニングセンタの開発

開発したリニアモータ駆動門形マシニングセンタの外観

図1 開発したリニアモータ駆動門形マシニングセンタの外観

リニアモータの構造

図2 リニアモータの構造

自社開発リニアモータの磁石配置

図3 自社開発リニアモータの磁石配置

42時間加工時での形状面・隈取り間段差

図4 42時間加工時での形状面・隈取り間段差

1. 概要

 現在,自動車用プレス金型分野において,世界で同一品質の金型を垂直立上げすることが求められている.そのため,機械加工によって作業者の技量に左右されやすい手仕上げ工程を極力減らし,その上で型合せ時間を短縮することが求められている.本技術では,新概念のリニアモータの開発と,高精度な熱変位補償システムを適用させることにより,金型の生産性を革新する「仕上げ加工時間1/2」「室温変化時の寸法精度安定性1/5」という高い性能を実現した.

2. 技術の内容

(1)新リニアモータの開発
 移動体質量が大きく移動量も長いX・Y 軸には高精度・高速輪郭加工を実現するため,自社開発のリニアモータを適用した.

 新リニアモータは,永久磁石をステータ側に持たず,凹凸のついた積層鋼板のみの構造となっている.スライダ側は,側面に貼り付けられた複数の永久磁石と,それらを取り巻くように配置されたコイルで構成されている.これによりレアメタルである磁石の使用量は従来の約1/10 となった.(図2

 また,精密位置決めにおいて課題となるリニアモータの推力リップルは,リップルどうしをキャンセルする推力リップル抑制技術の開発により,40%にまで低減した.(図3

(2)熱変位補償システムの開発
 門形マシニングセンタは,コラムの構造が複雑であり,環境温度変化によって倒れを生じ,加工ワークの寸法精度や面品位に悪影響を及ぼす.これに対して環境温度を変化させる実験や解析をベースにしてコラムの熱変位を最小化する熱平衡構造を開発した.

 同時に,過度状態において主軸熱変位を精密に推定する技術,環境温度変化に対して機械各部の熱変位を精密に推定する技術を開発,さらに工具とワーク間の相対位置をテーブル全面に対して熱変位補償し,長時間加工においても安定した寸法精度が実現できた.(図4

3. まとめ

 今回の技術開発により,安定して高能率,高精度,高品位な加工が実現できるようになった.大型プレス金型の領域で生産性の向上が図られるとともに,熟練者への依存度も低減された.

 また,熱変位補償システムにより,機械を恒温室に近い空調設備を持った工場に設置しなくても高精度加工を維持することが可能となった.空調設備費を削減し環境に優しい生産手段として実操業で貢献できると考える.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2008年、古橋静児(オークマ(株))、武仲晃治(オークマ(株))、鎌田都喜生(オークマ(株))、袴田隆永(オークマ(株))、川井庸市(オークマ(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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自動車用プレス金型、熱変位補償システム、熱平衡構造、リニアモータ駆動門形マシニングセンタ、省エネルギー、NC工作機械、機械加工、切削加工、金型加工、リニアモータ
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