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液体金属軸受を用いた高速CT用X線管の開発・実用化

ヘリカルスキャン方式X線CT装置

図1 ヘリカルスキャン方式X線CT装置

本開発X線管の概略構造

図2 本開発X線管の概略構造

固定支持部の動圧ハイブリッド軸受

図3 固定支持部の動圧ハイブリッド軸受

軸受面の平行度保障の概念

図4 軸受面の平行度保障の概念

1. 概要

 X 線を発生するターゲットが高真空中で回転する回転陽極型X 線管には,鉛・銀などの固体潤滑剤をコーティングした玉軸受が用いられるが,潤滑性能が不安定,高負荷時の高速化に限界があるなどの難点があった.さらに,ヘリカルスキャン方式のX 線CT 装置では,大きな遠心力に耐え得る高負荷容量の軸受が要求される.また,CT 装置による診断では,被爆量低減,撮影の高速化が課題となっている.本開発のX 線管は,液体金属を潤滑剤とした流体潤滑軸受を用い,玉軸受の課題を克服し,高速CT 装置の要求を十分に満たす性能を実現した.

2. 技術の内容

 図1 に示すようなヘリカルスキャン方式のX 線CT 装置は,X 線管と対向配置した検出器をガントリ内部で回転させ,患者をベッドで送ることにより身体をらせん状にX 線走査する.

 本開発のX 線管を図2 に示す.回転体を支持する軸受には,液体金属であるガリウム合金を潤滑剤とした流体潤滑軸受を用いた.回転機構は動圧グルーブを有する固定支持軸を中心に,外側回転型となっている.本開発では,高速CT 装置独自の課題に取り組み,次に示す独創技術を設計に盛り込んだ.
(1) 図3 に示すように,高負荷時にはグルーブ間の平面部のくさび(動圧)効果を利用する動圧ハイブリッド軸受を考案し,振動安定性と高負荷容量を両立させた.
(2)遠心力で機構が弾性変形しても,図4 に示すような軸受面と回転軸の平行度を保障する構造により,CT 装置のあらゆる使用条件で良好な潤滑膜の形成を可能とした.
(3)ガリウムとの反応層を形成する表面処理技術を開発し,ガリウム合金のぬれ性を確保した.

 これらにより,高速CT 装置が要求するスペックを満たし,本X 線管は,液体金属軸受を用いたX 線管として,世界で初めて高速CT 装置(一断面撮影0.5 秒以下)に使用可能となった.性能と特長は以下のとおりである.
(1)大出力でありながら,従来の約2 倍である10 800rpm の高速回転を実現,被爆量を1/2 に低減させ,従来に優る高精細な画像取得を可能とした.
(2)CT スキャンで発生する24G 以上の遠心加速度に耐えることができる.
(3)液体金属軸受により潤滑不良による故障を根絶.安定した製品寿命を確保し,高い信頼性を実現した.

3. まとめ

 本X 線管を搭載したCT 装置は,患者の被爆量を低減し,高精細な診断画像による病巣の早期発見,誤診の防止に効果を発揮する.すでに製品の生産を開始しており,本年度以降の増産計画も順調に進んでいる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2008年、岩瀬光央(東芝電子管デバイス(株))、中牟田浩典(東芝電子管デバイス(株))、福島春信((株)東芝)、吉井保夫((株)東芝)、服部仁志((株)東芝)に日本機械学会を贈った。

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キーワード

液体潤滑軸受、液体金属、回転陽極型X管、X線CT装置、軸受、潤滑、トライボロジー
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