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2段圧縮ガスインジェクションサイクルを用いた高効率ルームエアコンの開発

高効率ルームエアコンの外観

図1 高効率ルームエアコンの外観

サイクル構成(冷房運転時)

図2 サイクル構成(冷房運転時)

サイクル動作(冷房運転時)

図3 サイクル動作(冷房運転時)

ロータリ2段圧縮機

図4 ロータリ2段圧縮機

1.概要

 近年,家庭用ルームエアコンは,地球温暖化防止の観点から,省エネルギー性の向上が強く求められている.一方,従来の個別要素の高効率化は飽和状態であり,大幅な性能向上が困難となっている.今回,冷凍サイクルの本質的な損失である膨張損失の低減を目的に,蒸発器で吸熱能力に寄与しないガス冷媒をバイパスさせて圧縮室にインジェクションする「2段圧縮ガスインジェクションサイクル」を開発した.具体的な開発技術は,低圧側と高圧側の二つ圧縮室を直列に配置することにより理想的なインジェクションを可能にした「ロータリ2段圧縮機」,気液分離器を備えた「インジェクション機構」,および温度差を検知してインジェクション量を適正化する「サイクル制御技術」,「インバータ制御技術」,熱交換器などの高効率化である.以上の開発技術により,2.8kWクラスにおいて冷暖平均COP(成績係数)を業界最高の6.50に向上することができた.

2.技術の内容

 開発機の外観を,図1に示す.開発した室外機には,従来の冷凍サイクルで発生していた膨張損失を原理的に低減するために「2段圧縮ガスインジェクションサイクル」を搭載した.

 2段圧縮ガスインジェクションサイクルの構成を図2に,サイクル動作を図3に示す.「ロータリ2段圧縮機」は低圧側圧縮室と高圧側圧縮室で構成され,「インジェクション機構」は凝縮器と蒸発器の間にある二つの膨張弁と,両膨張弁間に位置し中間圧力となる気液分離器で構成される.気液分離器に流入する二相冷媒は気液に分離され,液冷媒は膨張弁でさらに減圧されて蒸発器に流入し,ガス冷媒は中間圧力のまま蒸発器をバイパスして高圧側圧縮室ヘインジェクションされる.

 これにより蒸発器に流入する冷媒の乾き度を小さくでき,従来の冷凍サイクルで発生していた膨張損失を低減できる.さらにインジェクションされる分だけ,蒸発器と低圧側圧縮室を流れる冷媒が減少するので,蒸発器の冷媒圧力損失と圧縮機の圧縮動力も低減できる.また冷房・暖房・低温暖房など幅広い運転条件で高効率化を実現するために,気液分離器の入口と高圧側圧縮室の吸入口との温度差を検出してインジェクション量を調節する,「サイクル制御技術」を開発した.

 本開発のキー技術である一「ロータリ2段圧縮機」は,図4に示すように低圧側と高圧側の二つの圧縮室を圧縮機外の連結パイプで直列に接続したものである.圧力変動の少ない圧縮室間の連結パイプにインジェクションするため,安定したインジェクション効果を実現した.また2段圧縮機は冷媒を段階的に圧縮するため,原理的に冷媒漏れ損失やガス荷重に伴う機械損失を低減できる.損失低減とインジェクション効果とを両立するため,解析と実験により,①低圧側と高圧側の圧縮室容積の比,②圧縮室形状,③吐出ポート構造などを適正化した.さらに2段圧縮機特有の複雑な負荷トルク変動に追従して,モータ入力を最小化する「インバータ制御技術」も新たに開発した.

 その他,開発サイクルの動作点に合わせて,室内機,室外機それぞれの熱交換器のパス構成やファンの翼形状を最適化して,高効率化を図った.

3.まとめ

 本開発技術は「ダブルアクセルシステム」の商品名で,2004年のルームエアコンから順次搭載され,2.8kWクラスにおいて冷暖平均COP(成績係数)を業界最高の6.50とし,最大暖房能力を業界最高の8.3kWに向上することができ,地球温暖化防止に貢献する.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、久保田 淳((株)日立製作所)、能登原保夫((株)日立製作所)、大沼 敦(日立アプライアンス(株))、田所哲也(日立アプライアンス(株))、飯塚義典(日立アプライアンス(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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ルームエアコン、冷凍サイクル、2段圧縮ガスインジェクションサイクル、冷凍・空調、蒸発、凝縮、熱交換器、地球温暖化
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