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気圧制御,アクティブ制振などを搭載した1010m/分超高速エレベーターの開発

TAIPEI101概観図

図1 TAIPEI101概観図

1010m/分超高速エレベーター主要開発項目

図2 1010m/分超高速エレベーター主要開発項目

大容量巻上機

図3 大容量巻上機

かご構造とアクティブマスダンパ(AMD)

図4 かご構造とアクティブマスダンパ(AMD)

気圧制御システムブロック構成図

図5 気圧制御システムブロック構成図

1.概   要

 台湾の台北市に建設されたTAIPEI101に1010m/分の超高速エレベーターを納入し,現在稼動中である.TAIPEI101の概観を図1に示す。本エレベーターは,1階と89階の展望フロアを39秒で移動できるものであり,以下のような新技術により製品化が実現した.
 ・大容量の巻上機とツインドライブ制御
 ・快適な乗心地のかごを実現する気圧制御とアクティブ制振
 ・乗客の安全を確保する非常止め装置やオイルバッファ
 主要な開発項目を図2に示す.

2.技術の内容

 図3にエレベーターを駆動するPMSM(永久磁石同期電動機)の大容量巻上機を示す.最大出力1186kW,定格出力168kWの二巻線構造の巻上機に,インバータを並列に接続したツインドライブ制御を採用した.巻上機は,電磁振動を軽減するために特殊フレーム構造とし,その設置を二重多段防振構造として建屋側への振動伝播を絶縁した.

 ガイドレール上を転動しながら乗りかごを案内するローラガイドについては,ロードレバーに直結したおもりの慣性力と緩衝ばねによりレールからかごに伝わる加振力を減衰させ,かごの横揺れを抑制した.さらにかごの横揺れを検知し,能動的に振動を低減するアクティブマスダンパを設けた.また,エレベーターが昇降路内を走行する時に発生する風切音を低減するために,かごを流線形の整風カプセル構造とするとともに,くさび形状の頂部スポイラを取り付けて(図4),かごの表面に生じる圧力変化を抑制して,かご内の騒音を低減した.

 これらに加えて,高揚程を昇降するときの乗客の耳詰まりを軽減するために,図5に示すような気圧制御を開発した.かごを気密構造にし,かご下に設けた吸排気ブロアにより,エレベーターの起動から停止までかごの気圧変化率を一定にすることで乗客の耳詰まりを軽減した.

 安全装置としては,万が一主ロープ切断などでかごが過速度で落下した場合に,ガイドレールを挟み込んでかごを確実に制動・停止させる非常止め装置のブレーキシュー材には,1000°Cを超す制動摩擦熱にも耐える耐熱性,耐磨耗性に優れた特殊窒化けい素セラミックスを採用するとともに,60回以上の落下試験を実施し信頼性を確認した.

 また,かごをつっているロープはシミュレーションによりその挙動特性を把握し,昇降路への引掛り防止用振止めの開発も実施した.

 3.まとめ

 エレベーターとして,1000m/分の壁は高かったが,すべての構成部品,ユニットを新規開発して完成度の高いシステムを提供できた.装置開発のみならず,現地の据付技術開発についても注力し,加工精度の高いガイドレールを優れた技量を持った据付技術者が据付を行い,さらにレーザ測定器を採用して全行程を確認するなど,極めて高い据付精度を達成して,超高速走行,快適な乗心地,安全装置の確実な動作を実現する要因となった.竣工後1年以上経過するが,多くのお客様に安全と安心を提供し続けている.


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、岡本正勝(東芝エレベータ(株))、水口宏昭(東芝エレベータ(株))、中川俊明(東芝エレベータ(株))、中垣薫雄((株)東芝)、藤田善昭((株)東芝)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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気圧制御、非常止め装置、ブレーキ、ツインドライブ制御、エレベータ、振動制御、電磁力関連振動
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