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PETボトルDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)バリア膜の高速・高バリア成膜技術

ガスバリアの仕組み

図1 ガスバリアの仕組み

DLC成膜プロセス

図2 DLC成膜プロセス

DLC成膜の電極構成

図3 DLC成膜の電極構成

酸素バリア性能

図4 酸素バリア性能

炭酸ガスバリア性能

図5 炭酸ガスバリア性能

1.概   要

 飲料・食品容器は利便性,コスト面からPETボトル化が急速に進み,現在総容器の60%以上を占めるまでになっている.一方,金属缶やガラスびんと比較するとガスバリア性が低く,酸素浸入による内容物劣化,炭酸ガスの損失など,品質の保持に劣るという欠点があり,各種のガスバリア性向上技術が開発されている.

 当社はプラズマによりガスバリア性の高いDLC(Diamond Like Carbon:ダイヤモンドの物性に類似した炭素)膜をボトル内面に成膜する,世界最高レベルの高生産性と高ガスバリア性を実現したDLCコーティング装置を開発した.

2.技術の内容

 DLCの薄膜は,プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成膜法)にてボトル内面に蒸着され,酸素の流入,炭酸ガスの流出に対する遮断性を飛躍的に高めることができる(図1).他の成膜方式に比べDLCの特長としては,高いイオンエネルギーにより緻密な膜を形成できることであり,最近市場で増加している多層ボトルなどに対しても,高いガスバリア性を有している.

 PETボトルヘのDLC膜の成膜プロセスは,図2に示すとおりである.①チャンバ(外部電極)内にボトルを装てん,②チャンバ内を真空引き,③ボトル内部にアセチレンガスを供給,④高周波のRF(Radio Frequency:13.56MHz)電力にてガスをプラズマ化しボトル内面に10~30nmの薄膜を蒸着,⑤チャンバを大気開放した後ボトルを排出.以上の工程が連続的に高速で処理される.電極構成を図3に示す.

 本装置の開発では,飲料充てんプラントにおけるボトルハンドリング技術のほか,当社の各種製品で培ってきた成膜,プラズマ生成,真空,シール,高周波電源などに関する技術が生かされており,以下の四つの商品コンセプトに基づき製品化を行った.
(1)高いガスバリア性  未コーティングボトルと比較して15倍以上というハイレベルな酸素バリア性を有する(<fig id="2564">図4</fig>).また,炭酸ガスについても10倍以上のバリア性がある(<fig id="2565">図5</fig>).
(2)高い生産能力  当社装置のボトル生産能力は,18000本/h(~0.5l),12000本/h(~1.5l)と世界一の高生産性である.
(3)環境・安全性への対応  PETボトルリサイクル推進協議会の自主ガイドラインをクリアし,リサイクルに問題ないことを確認している.また,FDA(Food and Drug Administra-tion:アメリカ連邦食品医薬局)の認可も取得し,食品容器としての安全性も確認している.
(4)ボトルサイズヘの幅広い対応  0.3から1.5lボトルまで成膜でき,幅広いボトルサイズヘの対応が可能である.

 さらに,DLCコーティングされた容器は主に飲料や食品用に使われるため,安全性の面からも製品信頼性が重要であり,ボトルの品質を確保するため,ボトル1本ずつの成膜プロセス(真空度,RF電力,材料ガス流量ほか)の履歴を管理するトレーサビリティシステムを開発した.

3.まとめ

 この装置の実用化により,茶系飲料などの清涼飲料,炭酸飲料,アルコール飲料など,酸素・炭酸ガスの高バリア性が要求される内容物のPETボトル詰め用途が広がることになる.さらに,調味料や化粧品など,非飲料分野への用途も期待できる.

 今後ますます,世界中でPET容器市場は拡大が予想されており,当社は,"環境にやさしい,安全,高機能"の観点から製品開発を行い,お客様にお届けしていきたいと考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、上田敦士(三菱重工食品包装機械(株)、山越英男(三菱重工(株))、後藤征司(三菱重工(株))、浅原裕司(三菱重工(株))、白倉 昌(キリンビール(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

PETボトル、ガスバリア性、DLC膜、プラズマCVD、食品容器、プラズマ、表面改質、リサイクル
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