1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1814)

温度・湿度個別コントロール空調システム

空調機効率と除湿量の関係

図1 空調機効率と除湿量の関係

HBデシカ素子

図2 HBデシカ素子

1.背景

 圧縮式ヒートポンプ空調機のエネルギー効率は主に冷媒の高低圧差を小さくすることによって圧縮機の必要仕事量を小さくし,消費動力を低減することによって得てきた.

 従って,この手段でエネルギー効率を高めていくと図1 に示す通り,効率を高めるために蒸発温度を高める必要があり,同時に除湿量が急激に低下する.

 つまり,除湿量とエネルギー効率はトレードオフの関係にあり,快適性を維持しながらのエネルギー効率向上には限界があった.

2.温度・湿度個別コントロールシステム

2-1.システム概要
 湿度をコントロールする調湿外気処理機『DESICA』と温度をコントロールする『高顕熱形ビル用マルチエアコン』で湿度と温度を分離しそれぞれ高効率な機器で個別コントロールすることによって「省エネルギー」と「快適性」の両立を実現した.

 冷房時のシステムエネルギー効率= 4.71,暖房時のシステムエネルギー効率= 4.61 を達成し,省エネ法の特定機器であるエアコンディショナーのトップランナー基準値(冷暖平均エネルギー効率 3.07)に対して,約34%の省エネルギーを実現した.

2-2.高効率調湿外気処理システム"DESICA"
 「温度」・「湿度」を分離して処理を行いかつ省エネ性の高い空調システムを実現するために,水分の吸着によって除湿を行うデシカント方式を採用した新しい方式を開発した.

 従来デシカント方式は,吸着材を塗布したローターを回転させ,湿度を含んだ高湿度の空気をローターに流通して除湿し,水分を含んだローターを熱源で温めた空気で再生することによって乾燥させ,除湿運転を実現している.

 この方式では,水分を吸着する際に吸着熱が発生するために理論的な吸着限界線が存在し,33°C,22.0g/kg の空気を9.0g/kg まで除湿するためには80°C以上の高温の再生温度が必要であった.

 そこで,吸着材を圧縮式ヒートポンプの凝縮熱で再生し大幅な効率向上を実現するために,デシカント素子と熱交換器を一体型にして吸着熱を直接冷却によって除去し,再生熱を直接加熱によって供給する「HB デシカ素子」を開発した.(図2

 「HB デシカ素子」を搭載することによって低い再生温度(40°C)でも高い除湿性能を得ることが可能となったため,圧縮式ヒートポンプの排熱(凝縮熱)を利用して吸着材を再生することが可能となり,大幅な省エネルギー運転を実現した.その結果,建築物衛生基準法をクリアする調湿能力を有するとともに従来デシカント除湿機比で約2.5 倍の効率を達成した.また,吸着材と熱交換器を一体化することで部品点数を少なくしたこと,吸着材に熱をダイレクトに伝えることで熱ロスを無くし熱交換効率を高めたことからコンパクト化を実現し,機器容積を従来のデシカント除湿機比で約1/3 に低減した.

 また,空気中の水分を吸着,脱着して調湿を行うため,除湿に必要なドレン(排水)配管及び加湿に必要な給水配管を不要とし,従来の空調システムに対して大幅な省施工を実現するとともに,ドレンパン,加湿エレメントの定期点検及び清掃の必要がない省メンテンナンスを実現した.

3.まとめ

 本システムにより初めて高い快適性を維持しつつ省エネルギーな空調システムを実現可能とした.今後は,本システムを普及促進することによって地球温暖化防止に貢献していきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2010年、松井伸樹(ダイキン工業(株))、藪 知宏(ダイキン工業(株))、池上周司(ダイキン工業(株))、高橋 隆(ダイキン工業(株))、成川規則(ダイキン工業(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(動力エネルギーシステム)
エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(環境工学)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2010
東北新幹線が全線開業する。
2010
上海万博が開催される。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

除湿、吸着、デシカント、エネルギー効率、COP、冷凍・空調、ヒートポンプ、省エネルギー
Page Top