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実用的なサービスロボットに搭載できる小型・軽量な測域センサ(走査型レーザ距離センサ)の開発

測域センサの検出例

図1 測域センサの検出例

内部構造図

図2 内部構造図

1.概要

 サービスロボットや産業用搬送ロボットなど,自律移動が可能なロボットの目となるセンサを開発した.サービスロボットは人間の生活環境で共存するため,人との衝突を回避して安全を確保しながら,周辺の環境を認識して走行経路を見つけて目的地まで移動する能力が求められる.一方,産業用の搬送ロボットには工場内の狭い通路を安全に高速移動して搬送能力を上げることが求められる.図1 に示すように測域センサはロボット周辺の形状データを直接計測できるので,これらの課題解決に最も有効な環境認識センサの一つと言われてきた.しかし,従来の測域センサは重くて大型で高価な物や小型で安価だが測距性能の低い産業用センサしかなかった.そこで,実用的なロボットに利用できる小型で軽量な測域センサを開発した.

2.技術の内容

 サービスロボットの環境認識センサとして利用できるために,とにかく小型化することに注力した.従来の大型品に比して体積および質量が28 分の1 という衝撃的な小型軽量化と,8 分の1 の省電力化に成功した.内部構造図を図2 に示す.その結果,従来,測域センサを小型ロボットに搭載することは現実的ではないと考えられていたのに対し,言わば,ロボット技術者のパラダイムに変化を与えた.商品化したURG(アージ)シリーズはロボットが環境認識を行うために充分な測距精度と角度分解能を実現し,一般家庭や公共施設において,自己位置推定と姿勢補正を行うために必要な測距レンジと角度範囲を実現した.一方,産業用搬送ロボットは,これまで不可能であった隘路の高速走行が可能となり,工場システム全体の搬送能力が格段に向上している.

 ロボットが測域センサを有効かつ簡便に利用できるように開発された専用のコマンドシステム(SCIP:Sensor Communication Interface Protocol)を採用した.SCIP の拡張により,測距データの伸長,タイムスタンプ付加,垂れ流しモードなどの機能が追加され,測域センサの更なる用途の拡大が進んでいる.

 測定原理には,レーザビームを照射して反射光が返ってくるまでの飛行時間を計測することにより対象物までの距離を算出する光波測距原理を用いた.URG シリーズには,照射光を変調し反射波の位相差により飛行時間の正確な計測を実現する方式,および,短いパルス状の光を発射してその反射時間を直接計測する方式のものがある.これらの測距技術を小型化するために,特徴的な機械構造を有するスキャナ光学系,回路のASIC 化,補償回路の簡略化,測距データ補正技術などを開発した.

3.まとめ

 測域センサURG シリーズは,屋外でも使用できる長距離形や走査速度の速いものも商品化され,昨今メディアに登場するほとんどのサービスロボットや工場で働く産業用の搬送ロボットなどに多く採用され,既に12 000 台を超える出荷実績を持っている.今回の技術開発により,ロボットは人間にはない高機能な目を手に入れたことになり,我々の生活環境に一歩近づいたと言える.また,測域センサが小型軽量化できたことで,3次元認識や生活環境の空間知能化への応用も盛んになってきた.


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2009年、森 利宏(北陽電機(株))、油田信一(筑波大学)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

サービスロボット、測域センサ、レーザー、ロボット、センサ、移動
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