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高度機能集積形マザーマシン(プロセスイノベーションを駆動する立形CNC内・外径研削盤)

新構造の立形CNC内・外径研削盤

図1 新構造の立形CNC内・外径研削盤

全体構造

図2 全体構造

マニシングセンタースピンドルハウジングの加工例

図3 マニシングセンタースピンドルハウジングの加工例

1.概   要

 工作機械の形状創成運動は,直線運動と回転運動の組合わせで実現され,直線運動を実現させるための構造要素の加工を行う機械としては,古く1960年代からベット案内面研削盤が存在する.しかし,回転運動に関する機械は,現今に到るまで開発がなされていなかった.本機は工作機械メーカ向けのマザーマシン,いわゆる「マザーマシンのマザーマシン」として,汎用CNC旋盤のヘッドストックやマシニングセンタのスピンドルハウジングなどの回転運動に関する構造要素を高精度・高能率同時加工すべく実現された立形CNC内・外径研削盤である.従来の横形の研削盤ではその対応できる加工対象物は限定され,工作機械の大形形状部品の内径,外径,端面については,十分な仕上げ精度を達成可能な機種が存在しなかった.そこで,このような在来の工作機械の延長線上に位置する発想を打破して新たに立形構造を採用し,砥石の交換や段取り替えを必要としないワンチャッキング加工機能,コンパクト構造,ユーザビリティ,フレキシビリティなどの優れた,在来の研削盤の機能・性能を超越した研削盤を開発することに挑戦し,図1に示す本機を実現することができた.その結果,生産システムの中核となる工作機械の生産プロセスの革新に大きく寄与している.

2.技術の内容

 在来の研削盤では工作物主軸を水平に配置する横形が主流であったが,本研削盤では,図2のように工作物主軸および砥石主軸が垂直,すなわち立形に配置されている.この点が本機の大きな特徴となっている.砥石主軸を搭載した砥石台は,NC装置により水平および垂直方向に同時2軸制御される.この立形構造の採用によって,まず中・大形部品の研削時の芯出し作業の容易化を図ることができ,段取り時間の大幅な短縮,さらに高精度な研削加工が実現できる.ついで,高精度・高能率加工を実現するために,機能および構造設計面で以下に述べる工作機械設計の本質にせまる試みを数多く採用している.

 2.1 立形工作物主軸と高剛性砥石主軸の採用
 横形主軸の従来機では,工作物の自重で主軸に変形を生じ,高精度加工は困難であるが,立形主軸を採用したことにより,さまざまな誤差発生要因の最小化と構造の安定化が図られ,例えば図3に示す高精度の真円度が得られる.また,立形構造により,主軸径を大にすることが可能となり,高剛性化が実現された.

 2.2 ワンチャッキングによる複合加工
 一般的に平面加工にのみ用いられるカップ形砥石の利用方法に工夫を加えて使用し,ひとつの砥石で内径,外径,並びに端面といった複数の加工を効率的に行う複合加工が可能となった.

 2.3 高精度・高能率同時加工を可能とする高剛性構造とその熱変形対策
 本体構造のベットやコラムは,リブや隔壁により高剛性化を図ると共に,構造内各部に存在する熱源に対しては,ベルト駆動によるモータの別置や空げきの設置などの熱源の隔離,通風冷却,オイルジャケットによる温度制御された油の強制循環,スケールフィードバックによる熱変位制御といった熱変形抑制対策を最大限に施した.

 2.4 コンパクト構造とそれによる工作物および作業者のアクセスの確保
 立形主軸構造の利点を生かして,床面積と間口を最小化し,構造全体のコンパクト化を図ると共に,ユーザビリティに対して配慮し,作業者の接近や工作物へのアクセスを考慮した構造を実現した.

 2.5 自動化のためのシステム機能の組込み
 砥石の自動交換機能,ツールマガジン,オンマシンによる内外径自動計測機能,回転型ドレッサ,パレット自動交換機能などを用意し,それらを適宜組み合わせることにより,フレキシブル研削セルを容易に構築可能とした.

3. まとめ

 本機は産業界におけるプロセス・イノベーションを促進し,特に世界一の生産額を誇る我が国の工作機械業界の市場競争力の強化,大幅な生産合理化,並びに製造技術の展開に大きく貢献するものと考えられる.その一方,開発した立形CNC内・外径研削盤の基本形に対して更なるコンパクト化を図った展開形では,タレット機構による内径研削軸と外径研削軸の高精度割出し機能を附加して量産部品の最終仕上げ工程への対応能力を高めている.その結果,自動車産業分野関連を中心としたユーザにおける,より小形化,よりフレキシブル化,より汎用化といった要望に対して迅速に対応でき,実際に自動車メーカヘの納入実績を急速に伸ばしている.従って,革新的なマザーマシンとして中・大量生産を対象とする市場向けの機械としても,その今後が大きく期待できる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、渡邉 登((株)太陽工機)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

立形CNC内・外形研削盤、高精度、高能率加工、複合加工、機械加工、NC工作機械、研削加工、研削砥石
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