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ガスタービン動翼の再生リユース技術の開発

新翼、劣化翼、熱処理翼、再生翼の組織・寿命比較

図1 新翼、劣化翼、熱処理翼、再生翼の組織・寿命比較

再生翼の実機挿入風景

図2 再生翼の実機挿入風景

1.概要

 ガスタービン動翼の再生リユース技術とは,管理寿命に達した翼を新翼と同等以上の信頼性・寿命を有する翼に再生し使用することを可能とする技術である.運転翼の調査結果,組織劣化と変形が寿命を支配していたことから,①組織再生,②変形修正,③再生翼の寿命評価の三つの技術開発を行った.①は熱間等方加圧処理(HIP:Hot Iso-static Pressing)技術を劣化組織再生に用い,この翼材に含む低融点元素の偏析に起因する局所溶解の問題を解決した.②は常温伸びが3%と低延性材の変形修正を常温で量産べ一スで処理可能とした.③は動翼に用いるNi基超合金の主強化析出物γ'相の粗大化機構に基づいた寿命評価技術であり,再生翼への適用法を確立した.これによりこれまで廃却していた翼の再生リユースが可能となり,大幅な動翼の寿命延伸を実現することができた.

2.技術の内容

 再生翼の寿命評価結果を,新翼,管理寿命に達し廃却となった劣化翼,これに標準の熱処理を施した熱処理翼の結果と共に図1に示す.組織観察結果も併せて示したが,本技術により劣化翼の組織・寿命共新翼と同等以上に再生できている.本再生技術の開発は,実機翼の寿命の低下が主強化析出物γ'相の凝集粗大化に準じる形で生じていたことから,この組織回復に主眼をおき開発を行った.粗大化したγ'相を小さくし形状を整えるにはこのγ'相をいったん固溶し再析出させる必要がある.しかし,ガスタービンの動翼に用いられる多くの鋳璋Ni基γ'相析出強化型超合金は,粒界強化元素としてB,C等低融点元素を添加していることから,これらの元素の偏析に起因する局所溶融が懸念されている.このため溶体化熱処理はγ'相の固溶温度より低い温度で行う部分溶体化熱処理が用いられ,通常新翼段階で行う標準熱処理では組織再生を図ることはできなかった.この問題の解決法として,通常粉末成形品・鋳造品の高密度化,欠陥除去あるいは異材接合に用いられるHIP技術を,高圧下では融点上昇と元素の拡散が活性化することから局所溶融を抑える目的で用いた.また,鋳造欠陥やクリープボイドなどを潰し,経年損傷を回復させる効果も期待できることから,新翼以上に高い信頼性を有する翼の提供を可能としている.

 新翼並みの信頼性確保には,翼形状の復元も必要である.2・3段動翼の場合翼ねじりを隣接翼とチップシュラウド部で接触させることにより防いでいるが,運転中クリープ変形が生じ,十分な接触面積が確保できなくなる事象が生じている.この変形を修正する技術として,翼植込部と先端部を固定し油圧プレスを用いて常温で修正する技術を開発した.動翼材は常温で3%程度の伸びしかない低延性材であることから,あらかじめプレス量とスプリングバック量の関係およびき裂が発生する限界値を求め制御すると共に,修正時支点移動させることで修正部の分散を図り一箇所の修正量を抑える技術を開発した.

 最後の動翼の寿命評価では,γ'相の粒径の変化からメタル温度を推定する手法および粒径と粒子間距離からクリープ抵抗を推定する手法を開発した.この手法を用いて収集した実機のデータを基に解析寿命の見直しを行い,動翼の寿命評価手法を確立すると共に,開発した新翼の寿命消費線図をべ一スラインとし再生翼の寿命評価を行い,再生処理翼に対する寿命評価法も確立した.

3.まとめ

 今回開発したガスタービン動翼の再生リユース技術は,「BLEProcessTM」の商標名にて,1999年来すでに12台,約1000本の翼に適用しており(図2),その数は管理寿命に達する翼が出るタイミングで順次拡大している.繰り返し適用することにより大幅な寿命延伸が期待できることから,その経済効果は大きく,加えて資源の有効活用,溶解精錬することなく再生可能なことからLCA,CO2排出量削減の観点からも期待できる.


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、吉岡洋明((株)東芝)、斎藤大蔵((株)東芝)、布施俊明((株)東芝)、北山和弘((株)東芝)、石井潤治((株)東芝)に日本機械学会を贈った。

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キーワード

動翼、再生リユース、ガスタービン、翼・翼列、損傷・寿命評価、組織制御
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