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鉄道車両用セミアクティブ制振装置の開発

鉄道車両用セミアクティブ制御装置の構成

図1 鉄道車両用セミアクティブ制御装置の構成

可変減衰ダンパ(比例リリーフ弁方式)の基本構造

図2 可変減衰ダンパ(比例リリーフ弁方式)の基本構造

比例リリーフ弁の特性

図3 比例リリーフ弁の特性

1.概要

 高速化に伴って増加する左右振動を抑制する鉄道車両用のセミアクティブ制振装置を開発した.新幹線では軌道からの振動伝搬に加えて,高速走行時には車体に直接加わる空力振動が増大する.この2種類の振動は伝搬経路が異なっており,通常のサスペンションでは両方を有効に抑えることが困難だった.

 このため,高速電磁弁方式の左右用セミアクティブ制振装置を開発した.実用化の鍵は安全性であったが走行試験で実証され,世界初の営業列車用振動制御として1996年以降の新幹線車両で採用されている.

 第二世代として,比例リリーフ弁による油圧回路の単純化,自己診断機能付き加速度センサなどの開発により,性能を落とさずに低コスト化したシステムを開発した.このシステムは既存新幹線車両の乗り心地改善に採用されたほか,台湾新幹線用車両などにも採用されている.

2.技術の内容

 図1に本装置の基本構成を示す.台車一車体間に設けた左右動ダンパの減衰力を制御し,車体の振動速度に比例する減衰力を発生する「スカイフック制御」を行う.

 図2に比例リリーフ弁方式可変減衰ダンパの油圧回路図を示す.セミアクティブ方式では発生力の方向がピストン速度の方向で決まるため,車体振動速度とピストン速度の方向が同相になるときには減衰力を最小にして,減衰力の平均値をスカイフック制御が要求する減衰力に近づける(Karnoppの方法).

 このダンパは車体振動速度の方向に合わせて2個の電磁弁(アンロード弁)を選択し,油圧回路の作用で力の発生方向を制御して上記を実現する.

 減衰力の大きさの制御方法は2種類ある.図2のダンパでは比例リリーフ弁の電流を制御することにより図3のように減衰力を変える.第一世代である高速電磁弁方式では比例リリーフ弁に代えて高速電磁弁と絞りの組を複数設け,ピストン速度を参照して組み合わせを変えることにより制御する.

 故障時にはどちらの方式も通常の左右動ダンパと同じ特性になり,安全を保つ.

3.まとめ

 本装置は鉄道車両用の振動制御装置として1996年から実用に供され,約1100両の新幹線車両に取付けられて乗り心地の改善に寄与している.取付け数は現在も増加しており,有効な乗り心地向上の技術として認知されたと考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2006年、佐々木君章((財)鉄道総合技術研究所)、川崎治彦(KYB(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

スカイフック制御、セミアクティブ制振装置、鉄道・浮上式鉄道、ダイナミクス・制御、振動・騒音、アメニティ・人間工学、安全性・信頼性
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