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ディーゼルPM,NOx同時低減触媒システム(Diesel Particulate-NOx Reduction System: DPNR)

システム構成

図1 システム構成

DPNR触媒の構造

図2 DPNR触媒の構造

DPNRによるNOx, PMの浄化メカニズム

図3 DPNRによるNOx, PMの浄化メカニズム

1.概要

 地球温暖化問題に対するCO2削減の有効な手段として,燃費のよいディーゼルエンジンが注目されている.一方で,ディーゼル車から排出されるPMとNOxの大幅で,かつ早急な低減が強く求められる状況となっている.この課題に対して,ディーゼルエンジンにおいてリッチな空燃比での運転が可能なシステム制御技術と触媒技術(NOx吸蔵還元型触媒,新多孔質フィルタ構造体)を組み合わせることにより,今まで不可能とされてきたPMとNOxを同時かつ連続的に浄化する世界初の触媒システム(Diesel Particulate-NOx Reduction System; DPNR)を開発し,実用化した.

2.技術の内容

 本システムは,リッチな空燃比での運転を可能にすることと触媒の精密な温度制御のために,高圧で高精度な燃料噴射制御を実施し得るコモンレール式電子制御燃料噴射システム,電子制御EGRシステムおよび,新たに開発した排気系への燃料添加装置を装着した直噴ディーゼルエンジンをべ一スに,多孔質フィルタ構造体の細孔内および表面にNOx吸蔵還元型触媒を均一に担持したDPNR触媒を適用したものである(図1図2).

 エンジンから排出されるPMは,多孔質フィルタ構造体の細孔内に一時的に捕捉され,リーンな空燃比とリッチ空燃比の繰り返しによって触媒上に生成する活性な酸素種と排出ガス中に含まれる酸素によって,300°C程度の低温から連続的に酸化される.NOxは,リーンな空燃比において触媒に吸蔵され,リッチな空燃比において還元浄化される.このようにして,従来,ディーゼルエンジンで不可能とされてきた,ひとつの触媒によるPMとNOxの同時浄化を実現した(図3).

 このDPNRを採用したディーゼル車として,国内においては,都市内で運行されることの多い積載量2~3tの小型トラック(トヨタダイナ,日野デュトロ)にて2003年10月より市販を開始した.そのNOx排出ガス値は,2003年10月から施行された新短期規制値に対して75%低減レベル,かつPMについては同規制値に対して85%低減レベル(2005年10月から施行される予定の新長期規制値並)を実現した.また,ヨーロッパにおいては,本システムを乗用車(トヨタアベンシス)に適用して大規模な市場走行実験を実施した後,同車両にて2003年10月より市販を開始した.その排出ガス値は,2005年から施行されるEuro4規制値を大幅に下回るレベルを実現した.

3.おわりに

 今回,国内およびヨーロッパに本システムを適用した車両を,NOx,PMの規制値を大幅に下回る超低排出ガス車として導入したことで,CO2排出量の少ないディーゼル車のクリーン化が実現できることをいち早く示すことができた.今後,広くこの技術を適用し,都市環境の改善に貢献していきたいと考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2004年、田中俊明(トヨタ自動車(株))、藤村俊夫(トヨタ自動車(株))、松下宗一(トヨタ自動車(株))、正司 章(トヨタ自動車(株))、大河原誠治(トヨタ自動車(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

PM、NOx、触媒技術、吸蔵還元型、多孔質フィルタ、ディーゼルエンジン、汚染物質抑制、排ガス浄化触媒、エンジン制御、空燃比制御
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