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ヒートポンプ給湯機用CO2冷媒エジェクタサイクルの開発・実用化

エジェクタの作動

図1 エジェクタの作動

エジェクタサイクルの構成

図2 エジェクタサイクルの構成

CO[sub]2[/sub]可変エジェクタの構造

図3 CO2可変エジェクタの構造

1.概要

 近年,地球環境保護の観点から地球温暖化防止・省エネ化推進の具体策の一つとして,民生部門の家庭用最終エネルギーの約3分の1を占める給湯エネルギーの省エネ化に対し,CO2冷媒ヒートポンプ式給湯機(以下,エコキュート)など,高効率給湯機の普及促進が取り上げられ,この中でエコキュートの役割が大きく期待されている.今回,エコキュートの更なる普及拡大をねらい,給湯以外の床暖房などにも対応可能な大能力化と高効率化を同時に実現できる,世界でも実用化例のないCO2冷媒用可変エジェクタサイクルを開発・実用化した.

2.技術の内容

 従来の冷凍サイクルは膨張弁での減圧膨張時に運動エネルギーを損失している.これは,減圧膨張過程における渦の発生によって運動エネルギーが熱に変換されていることが原因である.CO2冷媒はその冷媒物性から損失しているエネルギーが従来のフロン系冷媒に比べ大きいことに着目し,このエネルギーを活用することで,エネルギー消費効率(以下,COP)向上の具体化を図った.

 エジェクタサイクルの構成は従来の膨張弁に替わりエジェクタを用い,その後部にアキュムレータを配置,ここで気液分離された液冷媒を空気熱交換器に供給できるヒートポンプサイクルを構成する.この中でエジェクタはノズル,混合部,デフユーザで構成され(図1),ノズルに流入する冷媒(以下,駆動流)はノズルの絞り部で減圧膨張され,空気熱交換器から冷媒を吸引する(以下,吸引流).混合部で駆動流と吸引流が均質になるまで混じり合い,減速昇圧しデフユーザ部の流路面積拡大により,さらに減速され出口圧力が上昇する.つまり,冷媒の運動エネルギーを活用し,昇圧させることで圧縮機の動力をアシストしている.

 給湯用ヒートポンプとして,幅広い使用環境条件(外気温度,給水温度,沸き上げ温度など)の中で,エジェクタサイクルを成立させるための開発ポイントを示す.

 第一に給湯機の基本機能は加熱能力の確保にあり,圧縮された冷媒の吐出温度の維持が重要となる.エジェクタサイクルでは,その昇圧効果により吐出温度が低下する特徴があり,加熱能力の減少を招く.吐出温度維持の方策としては吐出圧力を上げる方法もあるが,これではエジェクタ効果を大きく減少させてしまう.そこで,アキュムレータ後に外気からさらに吸熱する外部熱交換と内部熱交換を組み合わせ(図2),それぞれの特徴を活かし吸入過熱を取ることで吐出温度を確保した.外部熱交換器は低い給水温度で,内部熱交換器は高い給水温度でその効果を発揮する.

 第二に,高いCOPを維持するためには,最適な高圧圧力を制御する必要があり,従来型CO2給湯機からこの高圧制御方式を採用している.エジェクタサイクルにおいても必要な高圧を制御しながら高いエネルギー回収効率(以下,エジェクタ効率)を実現することが課題となる.エジェクタ性能を決める要素としてエジェクタのノズルがある.ノズルは「のど部」が加熱能力に必要な流量調整,高圧維持,「出口部」がエジェクタ効率決定の大きな役割を持つ部位で構成されている.そこで,ノズルの「のど部」と「出口部」を最適にかつ,同時に可変できる独自の絞り機構方式(図3)を新規に確立するとともに,エジェクタ内流路の各部をCO2冷媒物性に最適な形状とした.

 これらの新機構によって従来,狭い範囲でしか成立しなかったエジェクタサイクルを,一年中使われる給湯機用ヒートポンプヘの採用が可能となった.

3.まとめ

 以上の技術開発を中心に,コンプレッサ,給湯熱交換器の改良を加え従来比加熱能力30%向上した上で,さらにCOP約20%向上を実現した.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2004年、川村進((株)デンソー)、酒井猛(同左)、秋山訓孝(同左)、山本憲(同左)、武内裕嗣(同左)に「日本機械学会賞(技術)」を贈った。


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2004年、川村 進((株)デンソー)、酒井 猛((株)デンソー)、秋山訓孝((株)デンソー)、山本 憲((株)デンソー)、武内裕嗣((株)デンソー)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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エコキュート、エジェクタ、CO2冷媒、COP、サイクル、給湯、ヒートポンプ、地球環境、冷媒、省エネルギー
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