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高負荷エンジン用Pbフリー軸受の開発

開発軸受と従来軸受の比較

図1 開発軸受と従来軸受の比較

軸受表面の元素相関分析結果

図2 軸受表面の元素相関分析結果

Sn-Ag薄膜層の低摩擦試験結果

図3 Sn-Ag薄膜層の低摩擦試験結果

開発軸受の耐荷重性

図4 開発軸受の耐荷重性

1.概要

 今回開発した高負荷エンジン用Pbフリー軸受は,Cu-Sn-Ag合金をライニングに,固体潤滑皮膜をオーバレイとした軸受であり,Pbフリーで100MPaを越える高面圧下で運転可能である.この軸受は,従来のPbオーバレイ付きCu-Pb合金軸受では困難であった高面圧領域への対応を可能とし,将来のディーゼルエンジンの高面圧,長寿命設計に寄与できるものである.

2.技術の内容

 ディーゼルエンジンの高面圧・長寿命の二一ズにこたえるために,新しい考え方のCu-5Sn-1Ag系軸受合金を開発した.本軸受の基本的な考え方は,オーバレイには初期なじみのみを期待して,なじみの出た後はライニングによりしゅう動することとした.そのため,高面圧下におけるライニングの耐焼付き性の向上や凝着防止を目指して開発を進め,結果として,今後のディーゼルエンジンの高面圧,長寿命化にこたえられる,優れた軸受材料を開発できた.

 図1に開発した合金組織などを従来のCuPb系合金と比較して示す.従来,軸受として極めて有用であったPbを積極的に排除すること,により,Pb腐食に起因する軸受損傷を回避し,Pbに代えてAgを添加することで銅合金自体に非移着性や耐焼付き性を付与したものである.さらに,オーバレイとして新規開発の固体潤滑オーバレイを用いており,軸受全体としてPbフリーを達成している.

 この合金が高面圧下で優れた性能を示す理由は,他の銅合金に比べ高面圧下における相手軸への移着が少なく,焼付き難いことが挙げられる.相手軸への移着が少ない原因は,軸受合金中に過飽和に固溶したSnとAgが運転中に軸受しゅう動面に移動,富化して,軸受表面近傍にSn-Ag薄膜層を形成すること,ならびにその薄膜層の低移着性,低摩擦特性による.図2にしゅう動面近傍のSnとAgの相関分析結果を示す.この図より,しゅう動面近傍には初期添加量の数倍のSnとAgが存在する部分があることがわかる.図3には,検証実験で得られたSn-Ag薄膜層の低摩擦結果を示す.

 この軸受の耐荷重性をP-V図として図4に示す.各プロットは各々のPVにおいて耐久試験を行った結果,そのPV条件で使用に耐えられることを意味する.これより,固体潤滑オーバレイ付きCu-5Sn-1Ag合金軸受は,従来のPb系オーバレイ付きCu-Pb系合金軸受の約1.5倍,120~140MPaの高面圧下で運転可能であることがわかる.

3.まとめ

 今回開発した高負荷エンジン用Pbフリー軸受は,高面圧化,寿命化に対応できる新しいコンセプトの軸受として,現在,排気量1.4~14リッター,4機種のディーゼルエンジンのコンロッド軸受,および2~3リッター,7機種のガソリンエンジン用主軸受に量産採用されるとともに,今後のディーゼルエンジンの発展に寄与できるものと期待されている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2003年、熊田喜生(大豊工業(株))、神谷荘司(大豊工業(株))、橋爪克幸(大豊工業(株))、冨川貴志(大豊工業(株))、金山 弘(大豊工業(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

高負荷エンジン用Pbフリー軸受、トライボロジー、潤滑、摩擦・摩耗、表面・界面、接触・摺動
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