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イグナイタ内蔵スティックコイルの開発-プラグホール内搭載可能なスティック型点火コイル-

スティックコイルの搭載性

図1 スティックコイルの搭載性

開発(斜向重ね)巻線と従来巻線の比較

図2 開発(斜向重ね)巻線と従来巻線の比較

開発(円柱積層)コアと従来コアの比較

図3 開発(円柱積層)コアと従来コアの比較

1.概要

 近年のガソリンエンジン用点火装置は,従来のディストリビュータとハイテンションコード等にとって代わり,S-DLIシステムと呼ばれる,各気筒ごとに点火コイルを配置するタイプに変わりつつある.一方,エンジン自身も,DOHC化,多バルブ化,直噴化等の動きの中で,ヘッドカバー上部での点火コイルに割り当てられるスペースの削減が望まれている.本技術は,従来ハイテンションコードが挿入されていたプラグホールを有効活用することに着目し,プラグホール内に収まるコイル,つまり"スティックコイル"を開発して,この課題を達成する.

2.技術の内容

 駆動回路であるイグナイタを頭部に内蔵したスティックコイルの搭載例を,図1に示す.このスティックコイルを開発するときに,小型化,耐高電圧,耐熱応力等の課題をブレークスルーするために開発した主な新規技術は以下の六項目である.
(1)樹脂パッケージングによるイグナイタの小型化;三次元流れ解析で,最適材料,構造を決定した.
(2)高耐電圧パワー素子による二次巻線低減;イグナイタ内のパワー素子の耐電圧を向上した.
(3)斜向重ね巻線(二次側)によるスプールのつば廃止
(4)ダミー巻線(二次側)による電界強度低減;電界強度解析で、最適構造を決定した。
(5)円柱積層コアによる磁気回路の最適化
(6)異種材料(樹脂と金属)間の熱応力低減;熱応力解析で,最適構造を決定した.
この中でも,特に(3)斜向重ね巻線と(5)円柱積層コアは,設計・製造の両面からの技術開発で目標を達成できた.

 図2に示すように,従来巻線は,巻線間に発生する電圧(線間電圧)を,巻線自身の耐電圧以下に押さえるために,「つば」で仕切ったスロットに線を巻いていた.一方,開発した斜向重ね巻線では,線を斜めに積み重ねることで線間電圧を押さえられ,「つば」を廃止できる.その結果,点火コイルの直径を10%低減できた.

 図3に示すように,従来の通常プレスによる積層コアでは,円形の中に占めるコアの割合である占積率が50~70%程度であった.一方,開発品である円柱積層コアでは,幅の異なる帯状鋼板を「トランプ束ね」の要領で組み合わせて,占積率95%以上のコアを実現できる.その結果,点火コイルの直径を10%低減できた.

3.まとめ

 本技術を採用した製品は,1997年に世界に先駆け市場投入に成功し,多くの自動車メーカに採用されている.また,他の点火コイルメーカも,スティックコイルのコンセプトを認めて追従してきたため,点火装置としてのデファクトスタンダード製品となった.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2003年、大須賀一豊((株)デンソー)、佐藤真弘((株)デンソー)、山本昌弘((株)デンソー)、河野恵介((株)デンソー)、田端孝志((株)デンソー)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

スティックコイル、点火コイル、イグナイタ、プラグ、巻線、自動車・産業車両、ガソリンエンジン、点火
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