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筒内噴射エンジン用バッテリ電圧直接駆動インジェクタの開発

バッテリ電圧直接駆動インジェクタの構造

図1 バッテリ電圧直接駆動インジェクタの構造

ダブルコイル駆動システムの構成と動作

図2 ダブルコイル駆動システムの構成と動作

駆動電気条件変化時の補正手段

図3 駆動電気条件変化時の補正手段

1.概要

 地球温暖化防止のため温室効果ガス(CO2)の削減が必須(ひっす)となっている.全CO2排出量のうち自動車からの割合は約20%と多く,理論的に燃料消費量(CO2排出量に比例)の少ない筒内噴射(DI:Direct Injection)ガソリンエンジンは,温暖化防止のために有効な技術であり,多くの車両に展開されることが期待されている.

 今回,筒内噴射ガソリンエンジン用として,バッテリ電圧で直接駆動可能な新構造の燃料噴射インジェクタを開発し,量産化した.本開発のインジェクタでは,従来必要であった高速開弁用の昇圧回路や,開弁状態の安定保持用の電流制御回路が不要である.したがって大幅なコスト低減を図ることができ,DIエンジン普及に対するネックの一つとなっていたコスト高の解消に寄与することができる.

2.技術の内容

 DIエンジン用インジェクタでは,高い燃料圧力下で,高速かつ精密に燃料噴射量を制御することが求められる.昇圧回路や電流制御回路なしでこれらの要求を満足できるインジェクタを実用化するためにキーとなった技術は以下の二つである.

 ①バッテリ電圧での直接駆動技術:従来は駆動回路によって実現していた高速開弁と安定保持の二つの機能をインジェクタ側で実現するため,従来一つであった駆動コイルの機能を分離し,大きな磁気吸引力を瞬時に発生させるための低抵 抗かつ少巻数の開弁コイルと,応答性には劣るが少ない電流で適切な吸引力を安定して維持する高抵抗かつ多巻数の保持コイルの二つのコイルを併設したダブルコイル構造とした(図1).これにより,開弁コイルと保持コイルヘの通電切り替えのみで,0.5msという高速開弁と,30N以上の高い磁気吸引力による安定した開弁保持を両立できた.駆動回路はオン・オフ回路のみのコンパクトな構成であり,従来回路で問題となっていた熱,ノイズは発生しない(図2).

 ②実車での運転状態変化に対する噴射量制御安定化技術:実車の運転状態では,電気機器使用によるバッテリの電圧低下や経年変化によるハーネス抵抗増加が発生する.これに対応するため,運転状態での電圧値,電流値をフィードバックして開弁コイル通電時間と,噴射指令パルス幅を補正する制御技術を開発した.具体的には,バッテリ電圧低下時やハーネス抵抗増加時に開弁コイルの通電時間が長くなるように補正する.これにより,運転状態の変化によらず安定した燃料噴射量制御が可能となった(図3).

3.まとめ

 上記技術により,駆動回路を含めたインジェクタのコストを低減できた.本技術を用いたインジェクタは,2000年9月に量産が開始され,2.OLおよび2.5L 4気筒,2.5Lおよび3.OL 6気筒,4.5L 8気筒エンジンに採用されている.本技術が燃料消費量の少ないDIエンジン搭載車両の普及に及ぼしたインパクトは大きく,地球温暖化防止の後押しとなることが期待できる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、山門 誠((株)日立製作所)、安部元幸((株)日立製作所)、門向裕三((株)日立製作所)、久保博雅((株)日立製作所)、濱田泰久((株)日立カーエンジニアリング)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

ダイレクトインジェクション、インジェクタ、ダブルコイル構造、自動車・産業車両、エンジンシステム、ガソリンエンジン、噴射システム、CO2問題
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