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世界最大360MW六角炉加圧流動層ボイラの開発と建設

概略系統図

図1 概略系統図

九州電力(株)苅田新1号機鳥瞰図

図2 九州電力(株)苅田新1号機鳥瞰図

1.概要

 加圧流動層複合発電システム(PFBC)は,石炭を燃料とし,ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率,低公害の新しい発電技術である.1990年代初頭から70MW級のPFBC実証機,商用機が運転に入っているが,九州電力(株)は,この技術を更に発展させた世界最大容量となる360MW機を,苅田発電所新1号機として建設し,2001年7月,商用運転を開始した.商用機として効率向上をめざし,ガスサイクル,蒸気サイクルの高圧高温化を図り,石炭だき火力としては最高クラスの効率を実現した.大容量機の実現には,設備の小型軽量化が必須(ひっす)であり,そのために,圧力容器に効率よく配置できる六角形断面ボイラを採用した.

2.詳細

 PFBCの系統を図1に,外観を図2に示す。石炭は粉砕して,脱硫用の石灰石と水を混ぜ,スラリーの形で流動層ボイラに送られる.圧力容器に納められた流動層ボイラでは,ガスタービンコンプレッサからの高圧空気で燃焼が行われ,流動層内部に設置した伝熱管で蒸気が発生する.流動層を出た高圧高温(約1.3MPa,約850°C)の燃焼排ガスは,サイクロンでダストを分離した後,ガスタービンを駆動する.

 大容量商用機であるため,効率向上を重視し,ガスタービン運転圧を従来機より高圧とし,蒸気タービン側も,超臨界圧高温度条件(24.1MPa,566/593°C)として,従来のPFBCより更なる効率向上を図った.性能試験では,送電端熱効率約42%という石炭火力では最高クラスの効率を確認した.

 また,環境関係性能及び負荷変化率等の運用性能も従来型石炭火力並みであることを確認した.

 大容量機の実用化にあたっては,圧力容器を含めた設備の小型軽量化が不可欠である.PFBCでは,ボイラ,サイクロン等の各機器を圧力容器内部におさめ,それぞれに過度の圧力が掛からない設計としている.圧力容器の小型化には,各機器の形状,配置が非常に重要で,円形断面の圧力容器に無駄なく設置できるよう,ボイラは平断面を六角形とした.過去に例のない形状のため,コールドモデル試験により流動性などの特性を把握した.構造についても,伝熱管の配置,支持構造など検討は広範にわたり,関連特許出願は10件に及んだ.更に,1/20スケールのエンジニアリングモデルを作成し,メンテナンスを含め,構造の健全性を確認した.その結果,従来の矩形断面ボイラの採用に比べ,容器の径を約20%低減,重量で約800トン減少することができた.

 また,さらなる重量の低減のため,材料メーカと共同で新材料を開発,圧力容器に従来より約10%強度の高い高張力極厚鋼を,サイクロンなどの高温部材用に耐熱用オーステナイト系ステンレス鋼をおのおの開発した.

 以上のように小型軽量化の結果,ボイラ等の内蔵物を含む圧力容器を工場で組み立て,一体輸送して据付けることが可能となり,工期の短縮や経済性にも寄与することができた.

3.まとめ

 性能,構造,材料など多岐にわたる検討の結果,世界最大容量360MWのPFBC商用機を完成することができた.2001年7月以降の商用運転を通じ,高い効率や良好な運用特性が実証され,石炭火力発電の新しい時代を切り開いたと言える.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、簱崎裕章(九州電力(株))、高山英勝(西日本環境エネルギー(株))、松尾 武(九州電力(株))、浜中順一(石川島播磨重工業(株))、安藤 栄(石川島播磨重工業(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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石炭、加圧流動層、PFBC、複合発電、炉内脱硫、火力発電、ボイラー、コンバインドサイクル、省エネルギー・省資源、環境
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