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トルク補償カム(TCC)の研究・開発

入力軸トルクの相殺原理

図1 入力軸トルクの相殺原理

実施例-ヘリカルばね式TCC

図2 実施例-ヘリカルばね式TCC

入力軸回転速度n、入力軸トルクM、加速度a

図3 入力軸回転速度n、入力軸トルクM、加速度a

1.概要

 携帯電話やパソコンなどのマイクロ部品の高集積化と高速生産技術はわが国の産業基盤を支える重要技術である.これらのほとんどの製造・組立機械にはカムが用いられ,過去10年間で3~4倍程度の高速化が達成されてきた.カムには従来,運動伝達能と信号変換能が知られていたが,トルク平滑能が新たな知見として獲得され,この機能を体現したトルク補償カム(TCC)機構を搭載することにより,上記の高速化が達成されたといえよう.

2.技術の内容

 産業機械のエンドエフェクタはほとんどが停止-位置決め-停止の動作パターンを行うが,位置決めサイクルの前半は加速,後半が減速になり,大きな入力軸トルク変動が発生する.このため入力軸の回転速度も変動し,所期の運動どおりに駆動することができず,励起された振動によって,高速化が妨げられてきた.TCCは入力軸に作用するトルクを相殺するトルク補償用のカムを同一のカム軸に装着することによって,トルクを相殺あるいは平滑化することで,入力軸トルクを最小化し,入力軸の等速性を確保し,結果として振動を抑制することができる.

 TCCは固定サイクルで稼動する一般産業機械に普遍的に使用することができる.最も適する分野は高速化が陰路(あいろ)になっている機械である.これまで顕著な効果が得られた機械としては,製缶機械,大型のプラスチックボトル成型機・ガラス成型機などであるが,特にICチップ用の最近の超高速表面実装機では実装率が90%超えている.また大型の産業機械ではモータの必要定格容量が極端に小さくなるため,エネルギー消費の観点からもおおきなメリットがある.

 これまで開発されたTCC装置には,駆動速度が変動する装置用の慣性式TCC,コンパクトかつコストパフォーマンスに優れたヘリカルばね式TCC,大型のカム装置に適する空気ばね式TCCなどが開発されている.TCCの効果を要約すれば次のようになる.

(1) 変動する入力軸トルクが相殺あるいは平準化される
(2)入力軸の回転速度が一定になる
(3)振動が小さくなり,整定時間が短くなる
(4)この結果、高速化が実現できる
(5)またモータが小さくてすむので省エネルギー効果が高い

3.まとめ

 歴史的にはこれまで,入力軸の等速性の確保のために調速機やフライホイールが用いられてきた.TCCはこれらに比較して,安価かつコンパクトで,時定数が短いため産業機械の高速化のキー技術になっている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、西岡雅夫(西岡機構研究所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

カム、トルク補償カム機構、慣性式TCC、ヘリカルばね式TCC、空気ばね式TCC、機械要素、動力伝達、運動伝達
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