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家庭用CO2ヒートポンプ給湯機の開発・実用化

開発機の外観

図1 開発機の外観

開発した圧縮機

図2 開発した圧縮機

開発した給湯熱交換器

図3 開発した給湯熱交換器

1.概要

 家庭用最終エネルギー消費の約3割は給湯用であるが,そのほとんどが燃焼式給湯器により賄われている.したがって,給湯は,ヒートポンプなどの高効率機器の導入による省エネルギーが期待できる分野である.また,地球環境保護の観点から,従来のフロンではなく,環境への負荷が小さい自然冷媒を利用したヒートポンプの開発が期待されている.このような状況の下,自然冷媒CO2による家庭用ヒートポンプ給湯機(空気熱源方式)を世界で初めて,開発・実用化した.

2.技術の内容

 CO2は臨界温度が低く,給湯に使うとサイクルの高圧側が超臨界圧になる.このため,対向流の熱交換を行うことで,ワンスルーでお湯を所定の温度まで高いCOP(給湯能力/システム投入電力)で加熱できる.ただし,CO2は,フロン系冷媒に比べ,作動圧力が非常に高く,高圧側が超臨界圧になることから,研究開発課題が多く,これまで実用化されていなかった.今回の開発のポイントは,①高差圧・低圧縮比で作動する高効率圧縮機,②水を小温度差で加熱できるコンパクトな給湯熱交換器,③高COPで給湯が可能なシステム運転制御方法であり,これら課題に対し,試作,評価,開発を繰り返し行い,高効率(東京地区で年平均COP3以上)および高温給湯(90°C)が可能な給湯ヒートポンプシステムを開発できた.

 実用化した家庭用CO2ヒートポンプ給湯機は,蒸発器,圧縮機,給湯熱交換器,および膨張弁から構成される単純なサイクルで熱源は空気である.定格の給湯能力は4.5KWで,以上述べたヒートポンプユニットと,貯湯タンクユニットから構成されている.安価な深夜電力を利用してお湯を蓄え,昼間にこれを利用する方式である.外観・構成を図1に示す.

 図2に開発した圧縮機を示す.圧縮作動部は静粛性を確保するために,スクロール式とした.効率の確保に関しては,超高庄作動におけるスクロールの機械損失を押さえ,かつ作動室間の漏れを最小限に押さえることが重要であった.この相反する要求に対し,転がりスラストベアリングを採用し,旋回スクロールを押し付けることにより低い機械損失を実現するとともに,高精度加工・組付けにより作動室間すきまを最小限におさえた.

 図3に開発した給湯熱交換器を示す.フロン系に用いられる水冷媒熱交換器は2重管式であり,これをCO2冷媒に適用すると,水一冷媒間の温度差が大きくとれないため熱交換性能が低下することから,大きな熱交換器となってしまう.そこで,冷媒側を微細管構造とすることで高耐圧化と同時に超臨界領域での熱伝達率を大幅に向上させ,水側にオフセットフィン(インナーフィン)を用いることで小型・高性能化を図った.

 また,システム高効率運転制御方法に関しては,本開発における試作機の試験において,ある膨張弁開度でCOPが最大になること,また膨張弁開度と給湯熱交換器CO2出口・水入口温度差がリニアな関係にあることを見出した.そこで,この温度差がある設定値になるように膨張弁開度を制御することにより,COPを最大にするヒートポンプの運転制御方式を開発した.

3.まとめ

 以上の技術開発により,従来型の給湯器に対し,格段に省エネルギーが図れるCO22ヒートポンプ給湯機を開発・実用化することができた.


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、斎川路之((財)電力中央研究所)、橋本克巳((財)電力中央研究所)、伊藤正彦((株)デンソー)、榊原久介((株)デンソー)、小早川智明(東京電力(株))に日本機械学会賞を贈った。

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キーワード

自然冷媒、CO2冷媒、深夜電力、COP、オフセットフィン、給湯、ヒートポンプ、地球環境、冷媒、省エネルギー
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