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大出力・高速回転全身用X線CT装置の開発

X線CT装置

図1 X線CT装置

シリンダ型回転ベース

図2 シリンダ型回転ベース

マルチスライス検出器

図3 マルチスライス検出器

1.概要

 X線CT装置は1972年に発明されて以来,目覚しい普及に伴って臨床診断における重要な位置を占めるようになっている.しかし従来1秒回転の装置では,大きな臓器,例えば1mm厚スライスで全肺野を撮影する場合,30秒以上もかかり,長時間の息止めや姿勢の保持が難しい小児や緊急患者の負担は計り知れないものであった.高速化と同時に密度分解能や空間分解能に優れたCT装置も求められてきた.

 今回開発した大出力,高速回転のX線CT装置は,1回転当たり0.5秒でスキャン,O.5mm厚4スライス同時にデータ収集できる装置である.これにより,短時間で高分解能,広範囲の撮影ができるようになり,診断機能と検査効率を向上させることが可能となった.

2.技術の内容

(1)シリンダ型回転べ一スの開発;架台の回転速度の高速化に伴い,回転べ一スに搭載されるX線管や高電圧発生器などが強度確保のため大型化し重量も増加,回転べ一スには,さらに大きな負荷がかかるというジレンマがあった.また,0.5秒回転時の周速は10m/s,遠心力は13Gにもなるため,回転中の機器の破損による飛散を防止する安全性の高い構造が求められた.このため,架台の回転べ一スをシリンダ型にし,その内周面にX線管球などのユニットを実装することにした.高速回転による大きな荷重を受けても回転べ一スの変形は小さく,安全性も高い構造を実現した.

(2)ドライブモータの開発;従来,タイミングベルトによるベルトドライブ方式を採用していたが,高速回転化に伴い歯当たりによる振動と騒音が増大してしまう.駆動方式を非接触で駆動できる大型のダイレクトドライブモータを開発し低振動,低騒音を実現した.

(3)新型X線管球および高出力,高電圧発生器の開発;大容量,大出力を実現するため、陽極ターゲットを接地する陽極接地方式(X線CT装置用では世界初),また,13Gの遠心力に耐えるため、ターゲットの両側にベアリングを有するターゲット両支持構造とした新型のX線管球を開発した.X線用高電圧発生器を従来の1/9の体積のコンパクト設計とし,高速回転の中でも安定した性能を発揮する,オイルレストランスモールド式高電圧発生器を開発した.

(4)スライス検出器の開発;従来,架台1回転につき1断面の撮影しかできなかったが,1回転に4断面の撮影を行えるマルチスライス検出器を開発し,高速回転化と合わせてスキャン時間の短縮を図った.検出器容積を同等としながら、素子数は従来の30倍とし,体軸方向の分解能を向上させた.これらにより,標準的な肺野撮影においては,スキャン時間を従来の1/8~10に短縮できた.

3.まとめ

 本装置の開発により,検査時間が1/8と大幅に短縮され,患者への負担が飛躍的に軽減された.また,高速で高精細な人体構造を描写でき,従来装置では不可能であった心臓などの循環器領域の新しい臨床分野への応用が広がり,世界から注目されている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2001年、佐々木富也((株)東芝医用システム社)、関 泰宏((株)東芝医用システム社)、立崎 寿((株)東芝医用システム社)、村木宏一((株)東芝医用システム社)、中野 真((株)東芝医用システム社)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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X線CT、ダイレクトドライブモータ、X線管球、X線用高圧電源、マルチスライス検出器、精密機器、医療・福祉支援、アクチュエータ、センサ、ロータダイナミクス
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