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自動車用ハ-フトロイダル式無段変速機

主断面図

図1 主断面図

変速原理

図2 変速原理

動力伝達原理

図3 動力伝達原理

1.概要

 近年,地球環境意識の高まりによる「燃料消費削減」と,車の基本性能である「走りの性能」を両立させ得る技術として無段変速機が注目されている.従来のベルト式無段変速機はFF車に拡大採用されてきたが,大排気量車が中心のFR車に搭載できる無段変速機はなかった。

 今回,世界で初めてハーフトロイダル式無段変速機を実用化することで大排気量FR車への搭載を可能にし,走りの良さ,燃費と静粛性をさらに向上させることができた。

2.技術の内容

(1) 開発のねらい
 ①走りの性能向上
 ・無段変速機ならではのショックのない滑らかな走り
 ・トロイダル式無段変速機の変速応答性の良さを生かした,アクセルの踏み込みに対する鋭いレスポンスとリニアな加速感
 ②燃費の向上
 ・無段変速による変速ロスの低減
 ・最適燃費点を走行可能とする変速制御の採用
 ・無段変速機のメリットを生かした,ロックアップ領域の拡大
 ・変速比幅の拡大による,定常走行時の燃費向上
 ③静粛性の向上
 ・ワイドレンジ化と変速制御の活用による,エンジン回転数の低減
 ④大排気量エンジン搭載FR車への適用
 ・FR車のフロアートンネルに搭載可能で,かつ3リッターを超える大トルクエンジンに耐えられる構成

(2)無段変速,動力伝達の原理
 図1にハーフトロイダル式無段変速機の主断面を示す.入力ディスクとパワーローラー(2個),そして出力ディスクの組合せを,出力ディスクを対称に2組組み合わせた構造(ダブルキャビティー方式)とした。

 変速比は,パワーローラーがトラニオンの回転軸を中心に傾転し,パワーローラーと入出力ディスクとの接触点の回転半径一比を変化させることで得られる.(図2

 ディスクとパワーローラー間の動力伝達は,両者の間に介在する油膜のせん断力により行われる.図3に示すように二つの転がり接触面問に生じるトラクション力:Tと押付荷重:Nの間には,T=μNの関係がある.(μ:トラクション係数)ハーフトロイダル式無段変速機では高いトラクション係数を有する特殊なオイルを使用しており,大きなトルクまで動力伝達を可能としている.

(3) キー技術
 以下のキー技術を克服することにより,実用化に成功した.
 ①実用状態でのトラクション係数の解析技術
 ②ダブルキャビティー方式での四つのパワーローラーの完全な同期の実現
 ③速い変速応答性を活かす安定性と応答性を両立させた制御システムの開発
 ④耐久信頼性の高いディスク,パワーローラーの材料,熱処理の開発
 ⑤高い伝達能力を持つトラクションオイルの開発

3.まとめ
 
 トロイダル式無段変速機は,その技術ハードルの高さから今まで実用化には至っていなかったが,今回専門メーカの最先端技術と英知を結集し世界で初めて実用化に成功した.今後も更なる性能向上を通じて,産業界に貢献していきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2001年、川口明生(ジャスコ・トランステクノロジー(株))、高田才明(日産自動車(株))、中野正樹(日産自動車(株))、町田 尚(日本精工(株))、畑 一志(出光興産(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

無段変速、ハーフトロイダル式、変速制御、トラクション係数、変速ロス、伝動機構、変速装置、トラクションドライブ、表面・界面、制御
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