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構造部品用高強度射出成形ガラス長繊維強化複合材料による機能統合型モジュールの開発

母材PP溶融粘度と残存繊維長の関係

図1 母材PP溶融粘度と残存繊維長の関係

フロントエンドモジュールキャリアのインテグレーション例(アテンザ)

図2 フロントエンドモジュールキャリアのインテグレーション例(アテンザ)

ドアモジュールキャリアのインテグレーション例(アテンザ)

図3 ドアモジュールキャリアのインテグレーション例(アテンザ)

1.概要

 近年、自動車業界においてモジュール生産方式が注目されている。今回開発した「高強度射出成形ガラス長繊維強化複合材料」は、ガラス繊維強化材料の射出成形における最大の課題であるガラス繊維の折損による強度低下を、材料開発の常識に挑戦した新しい発想と独自の工法により克服したものである。これによりフロントエンドモジュールとドアモジュールの基材(キャリア)に、射出成形の成形自由度を活かして多くの部品機能を集約し、大幅なコスト・質量削減を達成した。この開発により、物流簡素化や多種混流生産に対し安定した品質と生産性を実現してきた従来のモジュール生産に加え、コスト・質量の削減と付加価値の向上を併せ持つ、世界をリードする日本発のモジュール生産を可能とした。

2.技術の内容

 一般に、ガラス繊維強化ポリプロピレンの強度確保には、ポリプロピレン(以下、PP)を高分子量(高溶融粘度)にし、樹脂強度を向上させることが必要と考えられてきた。しかし、今回の開発において、樹脂を低溶融粘度化することで、ガラス繊維に加わるせん断力を低下させ、繊維折損を抑制できることが見出した(図1)。その結果、母材PPを低粘度化することで衝撃強度を3倍以上向上できることが分かった。すなわち、樹脂成分の低粘度化による強度低下より、ガラス繊維長の維持による補強効果が上回り、強度を向上できることを見出した。

 更に、ガラス繊維の折損を抑制するため、大型射出成形機用低せん断スクリュの開発を行った。開発したスクリュは、従来の大型スクリュに比べ、役1.7倍繊維を長く残すことを可能とし、樹脂を短時間に安定して計量する性能も高次元で両立させた。結果、従来材料とスクリュの組合わせに比べ、ガラス繊維長が約10倍となり、大型成形品中においても平均5mmの繊維を残すことを可能とした。開発した材料は、従来モジュールキャリアとして欧米で主に使われてきたガラスマット強化ポリプロピレンの加熱圧縮成形品と同等以上の性能と射出成形の成形自由度を併せ持つ理想的なモジュールキャリア用材料となった。

 フロントエンドモジュールキャリアでは、従来6部品からなったシュラウドパネル部に加えて、ワイヤハーネスクリップ、ランプ&バンパー締結ブラケット、ラジエータ締結ブラケット、シールプレートなどを一体化し、部品点数を20点以上削減した(図2)。25%のコスト低減および車両当たり10kgの軽量化を達成した。

 ドアモジュールキャリアでは、インナーハンドルベース、ワイヤハーネス、プラケット類をキャリアに一体化し、更にモータ、レギュレータ、ラッチ等の機構部品の一部まで取り込み、20%のコスト低減と台当たり2.3kgの軽量化、および盗難防止等の機能/品質向上を実現した。

3.まとめ

 今回開発した「高強度射出成形ガラス長繊維複合材料」とこれを適用した「機能統合モジュール」は、2002年2月生産開始したマツダ・アテンザから実用化を開始した。現在、北米とヨーロッパでの現地生産も開始し、順次採用車種を拡大している。この成功を励みに、今後もモジュール生産の発展に貢献していきたい。


 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2003年、栃岡孝宏(マツダ(株))、川本 親(マツダ(株))、小川雅規(マツダ(株))、杉本健一郎(マツダ(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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ガラス長繊維、樹脂強度、ポリプロピレン、低溶融化、部品点数削減、成形加工、生産システム、射出成形、エコマシニング、生産技術
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