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超塑性銅合金と特殊鍛造加工法の開発による量産品への適用

各温度での結晶組織とアップセット結果(初期ひずみ速度:0.9sec[sup]-1[/sup])

図1 各温度での結晶組織とアップセット結果(初期ひずみ速度:0.9sec-1

マルチシリンダによる超塑性(恒温)鍛造の概念

図2 マルチシリンダによる超塑性(恒温)鍛造の概念

適用例

図3 適用例

1.概要

 水栓金具等の水回り製品は耐食性から青銅(CAC406)の使用が義務づけられていたが,1991にJIS規格が改訂されメーカ責任において材料の自由選択が可能となった.このため黄銅材料を代替として検討したが,加工性・耐食性に多くの問題点があり,新材料・加工技術の開発に至った.

 この結果,銅合金が持つ95%以上の高いリサイクル性を基本としながら,下記コンセプトのEES(Economy Ecology Safety)メタルパーツを開発し量産開始することに成功した.

 ①銅合金の高いリサイクル性を最大限に活用する.
 ②ニアネットシェイプ鍛造により,切削用Pbを排除する.
 ③銅合金に不足していた高い機械的特性を付与する.
 ④高い耐食性を有する.

2.技術の内容

(1)低温高速超塑性材料の開発
 銅合金をべ一スとして複雑形状・高精度・Pbレス・低コスト等の要件を満足させるためには,下記が不可欠であった.

 ①800K以下で超塑性が発現すること.
  廉価な熱間鍛造型鋼SKD61等が使用可能.
 ②高速変形可能であること.
  従来鍛造と同等レベルの高生産性が必要.
 ③黄銅材料の現行生産ラインで製造可能であること.

以上を実現するため,基本成分を「Cu:59%,Sn:3%,Pb<0.01%,Zn:残部」として,Sn添加で析出する高硬度γ相を利用した「α十β十γ」3相組織を材料設計した.

 ①Cu・Sn・Zn成分制御による恒温鍛造温度(800K以下)での各相比の適正化
 ②低温押出しによる結晶粒径微細化(15μm以下)

この結果,目標である800K以下での高延性を得ることができた(図1).これはα・β・γ各相間での異相界面すべり発生によると考えており,初期ひずみ速度0.9sec-1という実用レベルの高速で高延性が得られた.

(2)恒温密閉鍛造の概要
 開発材を最大限に活用するために,上下だけでなく自由方向から加工できる油圧マルチシリンダプレスを用いた恒温密閉鍛造設備・技術を開発した(図2).

 超塑性銅合金(EESメタル)と本プロセス・設備の組み合わせにより,成形中に金型による冷却もなく,複雑形状のニアネットシェイプ成形が可能となり,高精度で抜きこう配不要な深穴成形「L/D>10」までも可能となった(図3).

 (3〉溶体化処理による高強度化
 Sn添加EESメタルを溶体化処理することにより,SUS304に匹敵する高強度と高い延性を得ることができた.更に種々の熱処理パターンにより機械的特性を制御することも可能となり,銅合金適用範囲の拡大が期待できる.

3、まとめ

 金属中で最高のリサイクル性を持ちながら,銅合金は目立った特徴に乏しいため近年使用量が減少してきた.しかしSn添加・結晶制御・熱処理により優れた機械的性質を示すことがわかり,今後さらなる特性向上が期待できる.

 一方,市場からは環境・安全問題でのPbレス化要求,コストダウン要求が極めて高まっている.これに応えるべく,学界・産業界のご協力をいただき,新世代の金属材料として広く展開いただければ幸いである.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、三浦 精(崇城大学)、中村克昭(東陶機器(株))、芦江伸之(東陶機器(株))、松原隆二(東陶機器(株))、東 洋司(東陶機器(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

水栓金具、低温高速超塑性材料、油圧マルチシリンダプレス、恒温密閉鍛造、金属材料、非鉄材料(銅合金, アルミ合金, ニッケル合金, チタン合金, マグネシウム合金)、塑性加工(圧延,鍛造,押出,引抜,プレス加工)、鍛造
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