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水-臭化リチウム系低温吸収式冷凍機の開発

-5℃発生低温吸収式冷凍機

図1 -5°C発生低温吸収式冷凍機

低温吸収式冷凍サイクル

図2 低温吸収式冷凍サイクル

1.概要

 水-臭化リチウムを作動媒体とする吸収式冷凍機は,熱駆動の冷凍機であり夏季の空調用電力ピークカットに有効であることから,大型空調用機器として広く普及している.また,環境負荷が小さく人にも安全な水を冷媒としていること,排熱を有効利用して省エネルギーに貢献できることから,環境に優しい冷凍機としてさらに広い分野への適用が期待されている.しかし,冷媒が水であるために発生する冷水の最低温度は5°C程度が下限であり,その用途はほとんどが空調用に限られていた.

 そこで,発生温度の低温化を図り適用分野の拡大を目的として,混合冷媒による蒸発温度低温化技術とこれを作動させる新サイクル技術を開発し,世界で初めて-5°Cの低温を発生する水-臭化リチウム系低温吸収式冷凍機の実用化に成功した(図1).

2.技術の内容

 水冷媒を使って-5°Cの冷熱を発生することは,通常では不可能である.これを実現するためには,冷媒の凍結防止と-5°Cから外気温度までのくみ上げ温度差の拡大を図る必要がある.これらの課題解決のための開発技術を以下に示す.

(1)混合冷媒濃度制御(冷媒凍結防止技術)
 冷熱取出し温度を従来の5°Cから-5°Cまで下げるためには-10°C程度まで蒸発温度を下げる必要がある.そこで冷媒の凍結を防止するために,吸収剤である臭化リチウムを凝固点降下剤として加えた混合冷媒を用いることにした.混合冷媒の物性を評価した結果,濃度を15%以上にすれば凍結を防止できることがわかった.ただし,高濃度では蒸発熱伝達率が著しく低下することから,凍結を防止して安定した性能を得るためには冷媒濃度を高精度に制御する必要がある.そこで,密度測定による冷媒濃度計測を可能とし,この計測信号を基に混合冷媒濃度を高精度に制御する技術を開発し,冷媒の凍結を防止した.

(2)二段吸収サイクル(くみ上げ温度差拡大技術)
 吸収冷凍機では冷媒である水と吸収剤である臭化リチウム水溶液の飽和温度の差を利用して熱をくみ上げている.吸収剤の濃度が濃ければ濃いほどこの差が大きくなるので,発生冷熱温度から外気温度(32°C)までのくみ上げ温度差を増大させるためには,吸収器での水溶液の濃度を高くすればよい.ところが,臭化リチウム水溶液は高濃度で結晶する性質があるため,高濃度化には限界がある.そこで,図2に示すように,二組の蒸発器と吸収器を組み合わせて二段階で熱をくみ上げる二段吸収サイクルを開発し,溶液濃度は従来と同等に低く抑えて大きなくみ上げ温度差を実現した.

 これらの技術は,新エネルギー・産業技術総合開発機構及び(財)省エネルギーセンターから「エコ・エネ都市プロジェクト」の一環として,受託した研究の成果を用いている.

3、まとめ

 以上の開発技術とともに,低圧下での蒸発,吸収性能や,中間冷水の温度制御,低温混合冷媒中への水冷媒の混入法などの開発を行い,水-臭化リチウム系低温吸収式冷凍機を実現した.

 開発機は2000年7月に食品プロセス冷却用として第1号機を出荷し,その後出荷台数も順調に伸びている.本冷凍機は工場排熱やコジェネ排熱を利用できる省エネルギーシステムとして,プロセス冷却や冷蔵分野,大温度差熱輸送等に適用することができ,地球環境保護に貢献できると考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、西口 章((株)日立製作所)、内田修一郎((株)日立インダストリイズ)、大内富久((株)日立製作所)、久島大資((株)日立製作所)、馬渕勝美((株)日立製作所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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キーワード

吸収式冷凍機、混合冷媒、臭化リチウム、吸収サイクル、冷凍・空調、冷媒、排熱利用、省エネルギー、地球環境
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