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7軸制御CNC転造盤の開発

従来の転造盤の構造と転造時のたわみ

図1 従来の転造盤の構造と転造時のたわみ

開発した転造盤の構造

図2 開発した転造盤の構造

ラック&ピニオンの図(xは固定個所)

図3 ラック&ピニオンの図(xは固定個所)

1.はじめに

 金属の塑性変形を利用した転造技術は歴史が古く,切削・研削技術より高生産性,省資源,省エネである利点はよく知られていたが,旧来の転造盤による転造品の精度が低いことから,転造技術の機械部品加工における応用範囲はかなり制限されていた.

 今回,従来とは全く異なる,独自の構造と機構を持つ,7軸同期制御のCNC転造盤を世界で初めて開発した.これにより,従来の転造盤では成形不可能であった種々の複雑形状部品の,研削技術に匹敵する高精度な転造加工が世界で初めて可能になった.

2.技術の概要

 従来の転造盤(図1)は,ダイスの支柱が片持ばりであり,また主軸台の横移動は右主軸台のみが左に移動するという構造である.このような構造では,フレーム剛性が低く,転造時の大きなたわみとその変化で両ダイスのべ一スからの高さと位相が変化するために,標準ねじとその他の低精度の転造品しか作れないだけでなく,NCの高度な制御を行おうとしても対応できない.

 本開発では,4本支柱のプレス機械と類似した機構を横にした,高剛性な構造を独自に考案した(図2).このような機構では,加工力が4本の支柱に均等に分担されるので,左右主軸のべ一スからの高さと位相が変化することはなく,高精度の転造加工に対応できるようになった.4支柱からなる本体フレームはベッドに固定しないフローティング方式を取り,ラムと本体フレームはラック&ピニオンで結合されている(図3).そのため,油圧シリンダによって押し出されるラムの左への動きに対して,フレームは右へ同じ量移動する.この結果,ワークは左右ダイスから同一量の加工を受けられ,転造物の仕上精度が大幅に向上した.また,左右の回転主軸が上下方向に傾斜できるようにした(図2).

 本転造盤では,主軸に装着されたダイスに与えた左右主軸回転,左右主軸傾斜,主軸間距離という5軸の自由度に,被転造物の加工位置と回転角の2軸を加えた7軸の自由度にしたが,上述の剛性の高い,合理性のある構造をもって,初めて多軸かつ高精度のCNC制御に対応できるようになった.

 CNC制御は,競合機がすべてシーケンサ制御であることに対して,既に国際標準となっているサーコス規格(SERCOS)の光通信手段を採用し,プロトコル設定が容易である特殊制御言語により7軸同期制御を実現した.この言語を使用することによりモーションコントロールカードが不要となった.コントローラは山洋電気(株)と共同で開発したフルソフトウェアコントローラであり,上述の7軸がおのおの独立しつつも同期をとって制御できるようにした.また,左右主軸の回転同期と傾斜調整,主軸間距離決めの制御精度を,従来の転造盤の場合より数十倍,数百倍上げている.

 以上のように,剛性の高い構造の転造盤に7軸の制御を用いることにより,従来の転造機では転造できなかったC3級ボールねじ,電動パワーステアリング用薄肉ウォームギヤ等の加工が世界で初めて可能となった.

3.まとめ

 従来の転造の概念を破った7軸制御CNC転造盤を世界で初めて開発し,従来は転造不可能であった種々の複雑形状部品の研削に匹敵する高精度での転造を可能にした.今後この転造盤と転造技術の恩恵を部品加工現場に普及できるよう,前後工程の機械との補完を図りつつ,素材材質,部品形状も提案していきたい.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2002年、新仏利仲((株)ニッセー)、吉澤 稔((株)ニッセー)、天野秀一((株)ニッセー)、伊藤健治((株)ニッセー)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

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転造技術、7軸同期制御、7軸制御CNC転造機、塑性加工(圧延,鍛造,押出,引抜,プレス加工)、歯車、鍛造
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