1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1741)

磁気ディスク装置の高速・高精度ヘッド位置決め技術

磁気ディスク装置、およびこれを搭載したディスクアレイシステムの外観

図1 磁気ディスク装置、およびこれを搭載したディスクアレイシステムの外観

1.概要

 IT分野の中核製品の一つである磁気ディスク装置は,主要性能である記録密度が1年で2倍以上,したがって記憶容量が1年で倍加するという急激な性能向上を実現している.これを達成するキーテクノロジの一つとして,記録再生素子(ヘッド)を高速かつ高精度に位置決めする技術がある.位置決め技術は,機械系,制御系の総合技術であるため,当社では,本技術を体系化し製品設計を行う手法を開発した.本手法では,磁気記録特性を考慮した位置決め系全体の仕様設計や,それを構成する機構要素,制御系の仕様設計が行える.これに基づき,高速サーボ制御や高速回転機構技術などが開発された.

 本技術は,毎分12000回転の世界最高速(開発時)のディスク回転数を実現した磁気ディスク装置,および現在の世界最高水準の記録密度,ヘッド移動時間を有する磁気ディスク装置に適用されている.

2.技術の内容

(1)位置決め系設計・解析技術
 ヘッドの位置決め誤差要因を,制御系の特性を考慮して機構共振振動,流体力起因のヘッド振動,および信号ノイズなどの誤差要因に分類し,位置決め誤差の定量分析を行う手法を開発した.さらに磁気記録系と位置決め系とを統合したモデルを作成し,磁気ディスク装置の基本仕様であるエラーレート(データ読誤り率)と位置決め精度との関係を明確にした.これに基づいてシミュレータを作成し,位置決め精度目標仕様をエラーレート仕様との関係において設定することを可能とした.

(2)機構系設計技術
 当社は,1998年に世界で最初の毎分12000回転の高速磁気ディスク装置を開発し,ディスクアレイシステムに搭載した.開発した装置では,消費電力を抑え,かつデータアクセス性能を向上させるために,3.5型の標準外形サイズの中に直径65mm(2.5インチ)の円板を収納する新しい機構コンセプトの提案,および高信頼性内輪回転方式スピンドル機構の採用を行った。本装置は,従来の大容量化を指向した製品コンセプトとは異なった新たな市場開拓の先べんを切るものであり,その後他社からも小径ディスクを採用した製品が発表されている.

(3)制御系設計技術
 ヘッドを高速に移動し,かつ高精度に位置決めするサーボ制御技術として,ディジタル制御理論を駆使したモード切換え型高速セトリング制御技術や多重サンプリング高速シーク制御技術を開発,実用化し,製品のヘッド移動時間の短縮に貢献している.

3.まとめ

開発した技術は,現時点では3.5型磁気ディスク装置のみならず2.5型磁気ディスク装置などにも活用されている.また,高速回転機は高速化,大容量化の性能向上を続け,ディスクアレイシステムの世界最高速性能の実現に寄与している.

 本位置決め技術は,磁気ディスク装置の記録密度の継続的な向上を支えるキーテクノロジーの一つであり,情報ストレージ事業を通じて高度情報化社会の発展に貢献できると考えている.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2001年、山口高司((株)日立製作所)、小林正人((株)日立製作所)、沼里英彦((株)日立製作所)、三枝省三((株)日立製作所)、小林 功((株)日立製作所)に日本機械学会賞(技術)を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

かしこくやさしい機械(生体・知能・情報)
(情報・知能・精密機器)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2001
米国中枢で同時多発テロが発生する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

磁気ディスク装置、設計技術、ディジタルサーボ技術、内輪回転方式スピンドル、記憶装置、制御、位置決め機構、CAE/CAD
Page Top