1. HOME
  2. 機械関連(専門)
  3. 研究情報(登録番号1737)

低排気エミッション直噴ガソリンエンジンの開発

燃焼室構成概略

図1 燃焼室構成概略

噴霧特性

図2 噴霧特性

混合気形成過程

図3 混合気形成過程

1.概要

 自動車のCO2排出量削減という重要な課題に対して,筒内直噴ガソリンエンジンはその中心技術の一つとして急速に拡大している.トヨタは早くからこの課題に取り組み,1996年,第一世代のD-4エンジンを開発し,市場に導入した.そして更なる排気エミッションクリーン化の要請にこたえるため,ファンスプレーを用いた新たな燃焼コンセプトを開発し,1999年,第二世代のD-4エンジンとして実用化した.この新燃焼コンセプトは空気流動の力を借りることなく燃料噴霧の貫徹力とピストンウォールガイドにより,広い運転領域において安定した成層混合気の形成を可能にした.これにより成層燃焼の持つ燃費改善効果を損なうことなく,直噴ガソリンエンジンとして,初めて移行期低排出ガスレベル(J-TLEV)を達成した.

2.技術の内容

 主要燃焼室構成を図1に示す.

(1) 高分散で適度な貫徹力を持つファンスプレー高圧噴射弁:図2に噴霧特性を第一世代のスワールスプレーと比較して示す.ファンスプレーは,明らかに噴霧の貫徹力が強く,噴霧形状は正面の広がりが非常に広い一方,側面は狭い形状を持ち,噴霧の分散性も高いことが見て取れる.また,噴霧のザウタ平均粒径も20μm程度であり,微粒化特性も優れていることがわかっている.

(2)シェル型のキャビティを持つピストン:ファンスプレーをガイドするための広い取込み口とキャビティー底壁面衝突後の噴霧を燃焼室中央(点火プラグ近傍)にガイドするための側壁形状から成る.安定した成層燃焼の実現には点火プラグ近傍に溜まるボール状の均質な混合気形成が必要と考え開発を進めた.図3は筒内での点火直前の混合気をLIF(レーザ誘起蛍光法)により可視化した結果を示しており,ねらいどおりの混合気形成が得られていることがわかる.吸気系は従来エンジンのストレートポートを用いており,特別な気流生成機構なしで広領域の成層燃焼を実現した.

3.まとめ

 新燃焼コンセプトD-4は,1999年9月に新型クラウン搭載3.0?2JZ-FSEエンジン,2000年5月に新型RAV4搭載2.0?1AZ-FSE,2000年10月に新型マークⅡ搭載2.5?1JZ-FSEに採用し量産化し,今後も順次展開を考えている.同時に,このシステムの開発によって生み出されたコンポーネント,触媒等の要素技術をはん用的なものに高めた点において,今後の環境問題に大きく貢献できるものと考えられる.

 本研究の成果に対して、日本機械学会は、2001年、加藤千詞(トヨタ自動車(株))、神田睦美(トヨタ自動車(株))、小林辰夫(トヨタ自動車(株))、杉山雅則(トヨタ自動車(株))、小池 誠(トヨタ自動車(株))に日本機械学会賞(技術)を贈った。

関連する研究を検索

分野のカテゴリ

エネルギーと環境(エネルギー・環境)
(エンジンシステム)

関連する出来事

データなし

世の中の出来事

2001
米国中枢で同時多発テロが発生する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

直噴、壁面衝突、成層燃焼、低排出ガス、高圧噴射弁、ガソリンエンジン、噴射システム、噴霧、混合気形成、微粒子
Page Top