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スピードスケート競技と市民の多目的利用に対応した長野市オリンピック記念アリーナの照明計画と実施

  • 写真なし櫻井 清
  • 写真なし蔭平 小三
  • 写真なし町野 陽一郎
  • 写真なし城内 忠司
  • 写真なし藤田 茂明
  • 写真なし村上 和雄
  • 写真なし鬼頭 和宗
  • 写真なし田中 哲治
  • 写真なし石崎 勝司
エムウェーブの外観

図1 エムウェーブの外観

エムウェーブの内観

図2 エムウェーブの内観

エムウェーブ内部の照明模型(縮尺1/100)

図3 エムウェーブ内部の照明模型(縮尺1/100)

視覚官能によるグレア評価の実験状況

図4 視覚官能によるグレア評価の実験状況

 1998年の冬季オリンピック長野大会でスピードスケート競技会場となった通称「エムウェーブ」が竣工したのは、1996年であった。この「長野オリンピック記念館」は、木造吊り屋根構造による世界最大級のアリーナで、日本初の400m標準ダブルトラックを備えている。

 屋内スピードスケート競技場としての照明は、JIS Z9124「スキー場及びアイススケート場の照明基準」に規定されており、インとアウトのコースに沿って配置した照明器具から、コースへ向けて行う投光照明が推奨されている。しかしエムウェーブは、夏期は球技など別のスポーツや各種イベントにも使えるように可動スタンドや人工芝巻き取り装置もある。そのため照明も多目的使用に対応でき、さらにカラマツ材でひな壇状に構成された天井の美しさを引き立たせる必要があった。

 スピードスケート競技のTV放映に要求される高照度(鉛直面照度1000 lx、水平面照度1500 lx)の確保とグレア(まぶしさ)防止を両立させ、さらに球技に必要な空間照度やボールの見やすさを確保することが課題となった。そこで各種シミュレーションや模型実験で問題点を拾い上げて照明計画を練った。

 採用された照明は、照明器具をメインスタンドとバックスタンドの上部、それにひな壇状の天井キャットウォーク(高所に設けられた細い通路)にライン状に配置し、天井空間構成やインテリアを生かすようにコース幅を除いたアリーナ全体に照明器具を分散させることにした。

 光源はランプ効率や寿命を重視し、ハイビジョンTV放映に適した演色性や色温度を考慮して、高演色形メタルハライドランプを使うことにした。

 また投光器は、メインスタンドとバックスタンドの上部のキャットウォーク(高さ22m)にそれぞれ63台、天井キャットウォーク(高さ17~33m)に336台、合わせて462台設置した。また、スケーターの視線に入りやすい東西妻側の投光器164台には、グレアを軽減させるために横形黒色ルーバを組み込んだ。

 天井キャットウォーク部投光器のエイミング(照射位置)は、左回りに滑るスケーター前方から光が入射しないようにコースから離れた投光器から左回りにエイミングして(サイクリック・エイミング)、スケーターのグレア軽減を図った。

 球技やイベントの場合、インフィールドの水平面照度と空間照度を確保するために、天井キャットウォーク部投光器のエイミングは、ビームを交差させ(クロス・エイミング)、グレアが生じない範囲内で照射距離が長くなるようにした。

 照明の効果は、照度・輝度測定のほか光環境評価(グレア測定や官能・印象評価)により検証し、スピードスケート時と球技・イベント時の光環境が計画通り確保されていることが確認された。

 本研究の成果に対して、照明学会は、1998年、冬には氷面、夏には人工芝という多目的ドームの照明に初挑戦した櫻井 清(久米設計)、蔭平 小三(久米設計)、町野 陽一郎(久米設計)、城内 忠司(鹿島建設)、藤田 茂明(鹿島建設)、村上 和雄(鹿島建設)、鬼頭 和宗(日本電設工業)、田中 哲治(岩崎電気)、石崎 勝司(岩崎電気)に日本照明賞を贈った。

文献

[1] 1997年、照明学会 全国大会 一般講演 平成9年4月4日
[2] 1997年、電気設備学会 全国大会 一般講演 平成9年9月5日
[3] 1997年、照明学会 光環境研究専門部会 公開研究会 平成9年11月17日
[4] ライティングフォトグラフ、1998年、照明学会誌 1998年 1月号
[5] 施設報告 特集 長野オリンピック、1998年、照明学会誌 1998年 1月号

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分野のカテゴリ

照明
(照明技術)

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キーワード

スポーツ照明、スピードスケート、多目的アリーナ、光環境評価、サイクリック・エイミング、クロス・エイミング、屋外照明技術、屋内照明技術
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