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1インチ・ハイビジョン・デジタルVTRの記録技術

ソニーが製造した1インチ・ハイビジョン・デジタルVTR

写真1 ソニーが製造した1インチ・ハイビジョン・デジタルVTR

日立が製造した1インチ・ハイビジョン・デジタルVTR

写真2 日立が製造した1インチ・ハイビジョン・デジタルVTR

 標準テレビ(SDTV)用のデジタルVTR(SMPTE D-1)が世界で初めて製品化されたのは1986年であった。データ量がその5.5倍に当たる高精細テレビジョン方式(HDTV=いわゆる「ハイビジョン」)用のデジタルVTRについても、1984年ごろから日立製作所とソニーが試作・開発を続けてきたが、1987年10月公開の「ハイビジョン・デジタルVTRに関するガイドライン」(NHK)による統一仕様により1989年、両社によって世界で初めて製品化された。1125/60ハイビジョン方式のスタジオ規格の1.2Gb/s (有効映像データレート944Mb/s)の映像信号を非圧縮でビデオテープに記録・再生するものである。これはハイビジョン番組制作のデジタル化の先導役や機器開発の信号源として活用され、またプロトタイプはソウルオリンピックの放送でも活躍した。

 非圧縮のハイビジョン・デジタル信号を直径11.75インチ・リールのテープに1時間記録するために採用したのは、当時SDTV放送用VTRの中核であった1インチ・オープンリール式VTRをベースにした薄手メタルテープであった。そして直径134.6mmの大型ドラムを2倍速の7200rpmで高速回転させ、1フィールド分の映像を4個1組のヘッド2組で16本のトラックに記録するなど、磁気テープ記録の最先端技術を駆使して実現した。長さ約400mmのトラック1本の幅は37ミクロンである。インサート編集では1フィールド分の映像を入れ替え、また収録・編集・放送などで異なるVTR機器間での記録再生の互換性を確保するなど厳しい条件を満たし、メカトロニクスの点でも最高峰であった。

 ハイビジョン放送初のスロー再生を実現するために、デジタル記録再生の本質である誤り訂正機能とフレームメモリを活用した。その結果、特にオリンピックなどのスポーツ放送で番組制作手法としても威力が発揮された。

 1996年のアトランタ・オリンピックに向けて、1/2インチ・カセットテープを採用した映像信号圧縮によるHDTVデジタルVTR(D-5 HD)が製品化され更新されていったが、ハイビジョンの高画質を実現する番組制作用のキーデバイスとして、放送衛星によるハイビジョン放送の普及・推進にも貢献した。


文献

[1] 中村、ハイビジョンVTRの規格(1)、1991年、TV学誌 Vol45, No.9
[2] Thorpe et al、HDTV Digital VTR、1988年、SMPTE J. , pp.738-747

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分野のカテゴリ

放送
(情報の記録)

関連する出来事

1988年
世界初ハイビジョン・スタジオ規格準拠非圧縮デジタルVTR。ソウルオリンピックで使用。

世の中の出来事

1988
リクルート事件が政治問題化する。
1988
青函トンネルが開業する。

Webページ

データなし

博物館等収蔵品

データなし

キーワード

ハイビジョン、磁気記録、ストレージ
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