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実効輝度による視認問題の統一的解明

実効輝度Leと実効輝度差⊿Le (概念図)

図1 実効輝度Leと実効輝度差⊿Le (概念図)

一次元実効輝度関数F(θ)

図2 一次元実効輝度関数F(θ)

単位輝度の視標面だけによる実効輝度tLα(θ)

図3 単位輝度の視標面だけによる実効輝度tLα(θ)

線視標による等視力曲線

図4 線視標による等視力曲線

長方形視標Tと1/4無限平面Q

図5 長方形視標Tと1/4無限平面Q

長方形視標の等視力曲線

図6 長方形視標の等視力曲線

長方形視標の実効率

図7 長方形視標の実効率

二次元実効輝度関数 G(θ, φ)

図8 二次元実効輝度関数 G(θ, φ)

各種視標の実効率

図9 各種視標の実効率

不均一輝度視野における輝度差弁別閾値

図10 不均一輝度視野における輝度差弁別閾値

ランドルト環視標による対比閾値の時間的経過 (暗順応の場合)

図11 ランドルト環視標による対比閾値の時間的経過 (暗順応の場合)

[従来技術]

 明視計画の基礎は、眼の感度(順応輝度Lb)に対する視覚応答(輝度差弁別閾値ΔLoまたは対比閾値Co)にある。LbとΔLo(またはCo)の関係は、視対象の大きさαを加えた3者を用いて等視力曲線として示され、同一感度に対して大きさが異なれば閾値が異なるという矛盾に関して不問のままである。これが、順応輝度の解明など、視認問題の取り扱いを複雑にしている

[解決すべき課題]

矛盾の原因は、網膜中心窩の受ける実際の刺激は、眼球内での散乱光の影響を受けて、視対象そのものの輝度とは異なっている(図1)ことを無視し、視対象の輝度を目への刺激としていることにあると考えられることから、
(1)眼球内での光の散乱特性を定量的に把えることにより、中心窩の受ける実刺激(実効輝度と定義)を求める方法を解明する。
(2)視標の大きさに関係なく、実効輝度と視認時の目の感度の2者によってその視認性が把握されることを均一視野での定常視認実験により検証する。
(3)不均一視野での視認、減能グレア、順応過渡時の視認、未解明問題が実効輝度により統一的に解明されることを示す
[課題を解決するための手段]
(1)中心窩の受ける実刺激である実効輝度を予測可能にすることを目的として、一次元実効輝度関数F(θ)と二次元実効輝度関数G(θ, φ)を考案した(図2図8)。
■一次元実効輝度関数F(θ):暗視野に単位輝度をもった半無限平面H(θ)が呈示されている場合、境界の直線に垂直な線上境界線よりθの点を注視したときの実効輝度LeをF(θ)で示す。「F(-∞)=1, F(∞)=0」 単位輝度の半無限平面を二つ組み合わせると、単位輝度の均一視野となるため、H(θ)+H(-θ)=1。したがって、F(θ)+F(-θ)=1,  F(0)=1/2

■二次元実効輝度関数G(θ, φ):暗視野上に単位輝度をもつ1/4無限平面Q(θ, φ)が呈示されている場合に、点(θ, φ)を注視したときの実効輝度G(θ, φ)で表わす。G(-∞, -∞)=1, G(-∞, φ)=F(φ), G(θ, -∞)=F(θ), G(θ, ∞)=G(∞, φ)=G(∞, ∞)=0。この1/4平面を二つ組み合わせると半無限平面となり、四つ組み合わせると無限平面となることから、G(θ, φ)+ G(θ, -φ)+ G(-θ, φ)+ G(-θ, -φ) =1
(2)各種視標の視認閾値実験を実施し、大きさの効果が順応輝度Lb(背景輝度)に依らないことを検証し(図4図6)、形や大きさの効果を実効率として定量的に把握した(図7図9)。同時に、F(θ)、G(θ, φ)を定量的に把握した(手順は各々図4図3図2図6図7図5図8)。
(3)高輝度面が存在する不均一輝度視野における視認閾値実験を実施し(図10)、順応輝度増加量の推定、減能グレアの評価が実効輝度によって同一現象として把握されることを検証した。
(4)順応過渡時の視認閾値実験を実施し(図11)、視標の形や大きさの効果が定常順応時と同等であることを検証し、非定常時の視認問題も実効輝度と眼の感度によって取り扱い可能であることを示した
(5)逆対比視標の視認問題が視標を含めた不均一視野の順応の問題であること、実効輝度分布より視対象の見え方変化の把握が可能であることを解説した。
[効果]
(1)同一感度に対して大きさが異なれば閾値が異なるという矛盾に関して、合理的な裏付けを与え、視認問題の取りを明快なものにした。
(2)視標の形や大きさにかかわらず、順応輝度と最小輝度差弁別閾値の2者によって視認問題は説明されるため、不均一輝度視野、非定常時など変数の多い視認問題についても、それらの統一的な解明が可能となった。
(3)形や大きさの効果(実効率)については、その予測方法を示すと共に、代表的視標については具体的に値(実験値)を呈示している(図7図9)ため、明視設計に重要な背景輝度や視対象の視認閾条件が把握できる。
[応用]
(1)視野内の輝度分布と実効輝度関数によって、実効輝度分布を予測すれば、不均一視野、減能グレア、視標属性、などの問題を一挙に取り扱うことが可能であり、これらに配慮した視認性の予測が可能である。「輝度分布→実効輝度分布→順応輝度→見やすさ」という、見やすさ予測システムの構築が可能である。
(2)順応過渡時の視認問題も、順応過渡時の感度と定常順応時の感度の関係を用いて、上記システムに組み込むことができるため、非定常時の見え方も含めた明視性の総合的な把握が可能となる。
 本研究の成果に対して、照明学会は、1990年、伊藤克三氏(摂南大学)、野口太郎氏(関西大学)、井上容子氏(摂南大学)に「照明学会 論文賞」を贈った。


文献

[1] 伊藤克三, 野口太郎, 井上容子、実効輝度による視認問題の統一的解明、1988年、照明学会誌 Vol.72, No.6 (1988/06) pp. p324~331

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キーワード

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