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N700系新幹線電車における車体傾斜システムの実用化と省エネルギーの推進

 2008年7月より営業運転を開始したN700系新幹線電車は、日本の新幹線として初めて車体傾斜システムを実用化することにより、東京~新大阪間の到達時分を約5分短縮し、また、従来車両である700系と比較して消費エネルギーを19%削減することができた。

 車体傾斜システムは、東海道新幹線において2006年より使用開始した新しい自動列車制御システム(新ATC)が持つ正確な速度・位置情報を、全16車両に伝送することで振り遅れなどのない良好な乗り心地を実現している。また、前述した新ATCや速度・位置情報を伝送する制御伝送システム、および各車両において車体傾斜制御を行う装置は、安全性と安定性を向上するために多重系化など様々な工夫を凝らしたものとなっている。さらに、車体傾斜システムの導入により、曲線での乗り心地を維持しつつ270km/hの等速走行が可能になり、曲線前後の加減速頻度が減少するため、消費エネルギーを低減させている。この他、通常のブレーキ時の回生率の向上と車体の平滑化などによる走行抵抗の削減により、700系より到達時分を短縮しているにもかかわらず、大幅な省エネルギー化を実現することができた。

 高速鉄道車両における車体傾斜システムの実現には、良好な乗り心地の維持に不可欠である正確な位置情報の取得と、絶対に誤動作させない安全性の確保が必須の課題である。前者については、新ATCの速度・位置情報を制御伝送装置で伝送することにより克服している。後者については、新ATCや制御伝送などのサブシステムも含め、ハードウェアのフェールセーフ構成や伝送情報の厳正なチェックによりこれを実現している。さらに、安全性と相反する面のある信頼性についても、各制御装置や周辺回路、センサの2重化などによって十分なレベルを確保しており、システムダウンに至る可能性を最小化している。

 一方、消費エネルギー削減については、非常停止時を除く通常のブレーキ時において、停止直前以外の全てのブレーキエネルギーを回生させることによって、ブレーキエネルギーの回生率を向上している。これは、交流モータ制御技術の発展や、長期間におよぶ大量の実走行データの積み重ねによって、粘着の確保に取り組んだ成果である。

 電気学会は、この成果を称えて、古屋政嗣氏(東海旅客鉄道㈱)、鎌田恵一氏(㈱東芝)、小峰彰氏(三菱電機㈱)、関野眞一氏(㈱日立製作所)に、2008年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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