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磁気案内エレベータの実用化

エレベータ磁気ガイドシステム

図1 エレベータ磁気ガイドシステム

磁石ユニットの構成と磁力制御方法

図2 磁石ユニットの構成と磁力制御方法

磁気ガイドシステムにおける非接触案内の様子

図3 磁気ガイドシステムにおける非接触案内の様子

 近年における建築物の高層化にともない、エレベータの高速化が求められている。エレベータの高速化にはガイドレールの不整に起因する振動や案内車輪の車軸などで発生する騒音がともなうため、高速化とともに、いかに快適性を維持するかが課題となる。

 今回実用化された磁気案内エレベータでは、案内車輪の代わりに永久磁石と電磁石で構成される案内磁石ユニットが取り付けられており、その磁気的吸引力をガイドレールに作用させてエレベータを非接触で案内する。このため快適性悪化の主たる要因を完全に取り除くことができ、振動の低減、騒音の減少、ガイドレール加工への要求精度の緩和、保守の軽減などが容易に実現できる。

 エレベータの非接触案内は、案内磁石ユニットとガイドレール間の空隙を大きく設定してソフトな乗り心地に必要な長ストロークが得られるように電磁石励磁電流による案内力制御に重点を置いた案内磁石ユニットの開発、外力と永久磁石がつりあうようにゼロパワー制御を適用した多軸磁気制御システムの開発、およびそのロバスト安定化によりはじめて実用化された新技術であり、この新技術の適用により磁気案内エレベータの開発に成功した。

 従来のエレベータ案内装置では、凹凸や段差などの不整がガイドレールの表面にあると、エレベータの高速化にともなってそれらに起因して発生する振動や騒音が増大し、エレベータ内のみならず各階のエレベータホールにおいても快適性が悪化する。対策としては、ガイドレール表面の加工や据付の高精度化、遮音材や吸音材の使用が一般的である。また、根本的な解決策として案内車輪の代わりに電磁石を使用してエレベータの非接触案内を実現しようとする開発も試みられたが、電力消費が大きく、支持剛性を低くできないなどの問題があり、実用化には至らなかった。今回の磁気案内エレベータの実用化では、永久磁石と電磁石で構成される案内磁石ユニットに磁気支持制御としてゼロパワー制御を適用したことが、電力消費の抑制と支持剛性の低減化に大きく寄与している。

 本実用化により、エレベータの高速化にともなう振動・騒音が低減されるのみならず、ガイドレールの加工・据付コストの削減、エレベータ支持機構の長寿命化、保守の軽減などが可能となる。これは、大きな社会的貢献であり、画期的な開発である。

 電気学会は、この成果を称えて、森下明平氏、伊東弘晃氏(㈱東芝)に、2008年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 森下明平、明石征邦、ゼロパワー磁気浮上制御によるエレベータ非接触案内方式、2001年、電気学会 リニアドライブ研究会資料、LD-01-53
[2] 伊東弘晃、森下明平、エレベータ非接触案内装置における実機案内特性に関する検討、2006年、電気学会 リニアドライブ研究会資料、LD-06-79

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エレベータ、非接触案内、ゼロパワー制御、産業電力電気応用
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