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180kVA高耐圧SiC3相インバータの開発

 現在、電力変換素子にはシリコン(Si)パワー半導体素子が用いられているが、Si素子は低損失、耐電圧、耐熱などの性能の限界に直面している。このため、Si材料に比べ、物理的、電気的に優れた特性を持つSiC材料に着目し、インバータを構成する上で不可欠な5kV・150A級の独自構造の高性能スイッチング素子SiCGTと高性能SiC-pnダイオードを開発した。さらに高温化でも動作可能なモジュールを実現するために、高耐熱絶縁樹脂(ナノテクレジンKA100)を開発した。この樹脂はポリシロキサンの一種からなるゴム状のポリマーで、400°Cまでの広い温度領域で優れた電気絶縁性を維持でき、SiC素子の高耐熱性実現に寄与できた。SiCGTとpnダイオードを内蔵し、この樹脂で被覆した金属製キャンタイプモジュールを製作し、Si素子の定格最高接合温度(約125°C)を大幅に超える300°C以上の接合温度で動作可能な高耐圧SiC3相インバータを開発した。SiCインバータは2004年から12kVA、35kVA、110kVAと毎年世界最大容量を更新し、現在では2kVdc、動作周波数2kHzで184 kVAまでの高出力化に成功した。

 研究着手当時は国内外でSiC半導体素子の研究が始まったばかりであった。開発者らは、その頃からSiCの優れた特性に着目し、電力分野への実用化を目指して早期に高耐電圧、大電流に適したSiCパワー半導体素子の研究に着手し、的を外すことなく迅速に研究を推進することにより、電力向けの5kV・150A級高速SiCパワー半導体素子を世界に先駆けて開発している。この開発SiCパワー半導体素子を電力分野に適用することにより、電力変換装置の低損失化による二酸化炭素の排出量の削減、小型化による省資源化、Siでは困難な高温環境下での稼動などを実現でき、大きな効果が期待できる。本研究においては電力分野に適用可能な150Aレベルまでの大電流化を図ったSiC素子の開発に加えて、さらにSiCの高耐熱性を引き出す絶縁樹脂も開発している。またSiC3相インバータとして、他社の25倍以上の世界最大出力を持つ180 kVA SiCインバータを開発し、電力分野での使用を可能にしている。SiCインバータはSiインバータに代わって電力・産業・鉄道などの広い分野で省エネ・小型化の進展に大きな貢献を期待できる。

 電気学会は、この成果を称えて、菅原良孝氏、浅野勝則氏(関西電力㈱)、東海林義和氏(㈱ADEKA)に、2008年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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