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田形磁路構造の可変インダクタを適用した無効電力調整装置の実用化

可変インダクタの基本構成

図1 可変インダクタの基本構成

可変インダクタ型無効電力調整装置

図2 可変インダクタ型無効電力調整装置

 配電系統における電圧制御は、主に機械式タップ電圧調整器により行われているが、段階的制御と切換え時間遅れのため、急峻な電圧変動への対応は困難である。このため、最近は連続かつ高速制御が可能な静止型無効電力補償装置(SVC)の適用も進んでいるが、SVCは高コストであるため普及には課題を残している。

 開発者らは、田型磁路構造の可変インダクタを考案し、巻線結線法、磁心寸法および磁心材料を適切に選択すれば、フィルタを用いなくても三相で使用する場合には実用上問題がないレベルまで高調波電流の低減が可能であることを見出した。さらに、本可変インダクタを用いて三相6.6kV-300kVAの無効電力調整装置を開発し、実電力系統の電圧調整に適用して良好な結果を得た。

 開発した無効電力調整装置は高速かつ線形な制御特性を有し、制御回路損失も含めた全損失が4%以下と小さく、SVCなどの従来機器と比較して20%程度の低コスト化も可能である。さらに、主構成要素が鉄心と巻線のため堅牢・高信頼度であり、サージ電圧や過電流に対する高い耐性を具備し、大型化も容易であるなどの特長を有している。

 可変インダクタを用いた無効電力調整装置は、東北電力、北芝電機、東北大学の共同研究により開発され、東北電力の実配電系統において2005年12月まで行われた実証試験によって電圧変動抑制効果が検証され、実用化にいたったものである。

 開発された無効電力調整装置は、磁束制御技術を適用した、ユニークな田形磁路構造の可変インダクタで構成されており、これまで半導体素子を使用した静止型電圧調整器において問題となっていた高コストや高調波電流ひずみなどの問題を克服するとともに、従来は困難であった可変インダクタの高速制御手法を確立した。さらに、主構成要素が鉄心と巻線なので、電力設備において得に重要な信頼性も具備した装置であり、実用性も極めて高い。

 今後予想される分散型電源の導入拡大においても、電力系統における電力供給の安定性、信頼性、および電力品質の維持が重要である。本装置は系統電圧安定化対策に対応するものであり、低コスト化による普及効果も大きいと考えられる。さらに、分散型電源の導入促進など、環境問題対策への貢献も期待され、本開発が電力技術の発展に果たす役割は多大である。

 電気学会は、この成果を称えて、大日向敬氏(東北電力㈱)、佐々木彰氏(北芝電機㈱)、一ノ倉理氏(東北大学)に、2008年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 早川秀一、中村健二、赤塚重昭、葵木智之、川上峰夫、大日向敬、皆澤和男、一ノ倉理、三次元磁気回路に基づく田形磁路型可変インダクタの動作解析、2004年、日本応用磁気学会誌、Vol.28、No.3、pp425-428
[2] 大日向敬、赤塚重昭、葵木智之、川上峰夫、有松健司、皆澤和男、平野准一、佐々木彰、我妻幸博、一ノ倉理、磁気制御による電力用可変インダクタの開発と電圧安定化機器への応用、2006年、電気学会論文誌A、Vol.126、No.10、pp99-1003
[3] 前田満、大日向敬、葵木智之、赤塚重昭、川上峰夫、佐藤博道、一ノ倉理、田形磁路構造による可変インダクタの特性、2002年、電気学会論文誌B、Vol.122-B、No.4、pp561-570

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キーワード

可変インダクタ、磁気デバイス、電力制御、無効電力調整、系統電圧調整装置、電力磁気応用、電力系統、制御
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