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仮想AC/DC/AC変換方式によるマトリックスコンバータの制御方式の開発と実用化

 マトリックスコンバータは交流を直流に変換することなく直接任意の交流電圧・周波数に変換する装置であり、交流を一度直流に変換する方式に比べて小型化、効率の向上、およびメンテナンスフリーなどの利点がある。その制御方式としては出力電圧指令値と入力電流指令値からそれに見合ったPWMパターンを直接発生する方式(AC/AC直接方式)が主流であり、直感的に制御の分離が困難であった。それに対して、提案方式はマトリックスコンバータを仮想的に整流器とインバータの組み合わせと考え、仮想的な各変換器のPWMパターンをそれぞれ生成し、両者のPWMパターンを合成して制御する方式で、PWM整流器とインバータのシステムと同様の考え方で制御することができ、従来のインバータの制御を継承できる。このような制御方式では、AC/AC直接方式に対してスイッチングパターンに制約を受けることから波形ひずみが多いとされてきたが、ひずみの発生原因を明らかにし、AC/AC直接方式と同等の良好な入力電流波形、出力電圧波形が得られることを示し、マトリックスコンバータの新しい制御方式を開発し、世界で初めてのユニットにまとめ、その後実用化に成功した。

 マトリックスコンバータは従来のインバータに比べ効率を低下させることなく力率改善できる唯一の手段であり、高調波問題とエネルギー問題の解決に大きく寄与する。この変換器は1980年代からさかんに研究されてきたが、入力電流と出力電圧の制御方式の複雑さや交流スイッチングデバイスの実現方法、主変換器の保護方式などに問題があり、実用化にはいたらなかった。開発者らは従来の方式にとらわれず、入力部分の制御と出力部分の制御を分離して考えることができる「仮想AC/DC/AC」方式の概念を提案した。この際、従来方式で発生する波形ひずみの原因を明らかにし、実用に即したキャリア比較方式で良好な波形を得る制御方式を開発した。また、開発者らは制御方式に加え、保護方式やデバイス適用など実用化の際に発生する多面的な問題について技術開発に成功し、次々に論文を発表している。この結果、開発者らはマトリックスコンバーの実用化に成功しただけでなく、これをきっかけとして、他の研究グループでも関連する研究がより一層さかんになった。

 電気学会は、この成果を称えて、伊東淳一氏(長岡技術科学大学)、小高章弘氏、佐藤以久也氏(富士電機アドバンステクノロジー㈱)に、2007年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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