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特高CVケーブルの損失電流法による非破壊劣化診断法の高機能化

ノイズ重畳ベクトル演算ノイズ除去法(内部ノイズ対策)

図1 ノイズ重畳ベクトル演算ノイズ除去法(内部ノイズ対策)

LA・PT影響除去法

図2 LA・PT影響除去法

ES影響除去法

図3 ES影響除去法

 現在最も普及している電力ケーブルであるCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ケーブル)の長期性能を決定付けている水トリー劣化の状態を非破壊で検出することのできる技術を、水トリーの非線形な電気特性に起因して発生する絶縁体の損失電流中の高調波成分に着目し、基礎実験、シミュレーション、現地診断システムの製作と実用化評価、および劣化判定基準の構築を経て、2002年度に実用化を果たしていた。しかし、長距離線路に対しては課電装置に含まれるノイズの影響が顕著になるという問題があった。そこで、2004年に高調波ノイズの影響に対して、高調波電圧重畳時の応答特性からノイズの影響分を算出して補正するという方法を考案し、ノイズの影響を除去した高精度化を達成した。また、2005年には都市部のケーブル線路形態にはガス絶縁機器(LA、PT)に直結されたものが多く、それらが診断に影響を及ぼすという問題があったが、その影響を除去して診断することのできる方法についても確立し、診断可能線路形態の拡大につなげることができた。現在まで電力会社および民間ケーブルユーザーの経年のCVケーブルを対象に300回線以上の診断実績を積み重ねてきている。

 現在の電力設備には、高度成長期に導入されて今なお稼働中のものが少なくない。現在、それらは設計時の設定寿命を迎えつつあるものの、可能な限り長く使用したいという要望がある。一方、電力エネルギーに支えられた現代の情報化社会では、電力の品質および信頼性に対する社会的要求は極めて強く、故障による停電は最大限防止されることが望まれている。

 ここに述べる特高CVケーブルの非破壊診断法は、送電ケーブルに主に用いられている特高CVケーブルの劣化状況を非破壊で高精度に診断できる方法である。従来6kV以下の配電系統の高圧CVケーブルを対象とした劣化診断方法がいくつか開発され、実際の現場で適用されているものの、送電系統の特高CVケーブルに対しては適用不可能であった。本方法は従来法にはない新しい診断原理を見出して開発されたもので、これまで的確な診断が行えなかった特高ケーブルの劣化診断を可能とした上で、現在まで事業レベルでの診断実績を着実に積んでいる。実際に診断線路約300回線中50回線の不良判定を行い、順次取り替えを行い、事故の未然防止を達成している。

 電気学会は、この成果を称えて、中出雅彦氏、辻本富幸氏(東京電力㈱)、八木幸弘氏(㈱ビスキャス)に、2007年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 辻本富幸、中出雅彦、八木幸弘、石井登、損失電流法高調波成分によるCVケーブル劣化診断法の高機能化、2006年、電学論B、126巻4号、2006年
[2] 辻本富幸、中出雅彦、八木幸弘、石井登、水トリー劣化CVケーブル劣化診断損失電流法の高調波ノイズ除去技術開発、2005年、電学論B、125巻12号、2005年

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キーワード

CVケーブル、水トリー、劣化診断、損失電流、電線・ケーブル、監視
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