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高電圧パルス印加型自走式不良がいし検出器の開発・実用化

高電圧パルス印加型自走式不良がいし検出器によるがいし点検状況

図1 高電圧パルス印加型自走式不良がいし検出器によるがいし点検状況

 現在、架空送電線では懸垂がいしの不良(電気絶縁性能の低下)を検出する手法として、メガー式(がいし直流抵抗測定)、音響パルス式(がいし分担電圧測定)などによる検出器が用いられている。しかしながら、最も検出精度の高いとされるメガー式不良がいし検出器においても、がいしの汚損状況や気象条件によっては健全がいしでも絶縁抵抗値が低下し、検出精度が低下する可能性がある。また、汚損コロナ抑制機能に優れた全面導電釉がいしでは、通常釉がいしと比較して直流抵抗値が低いため、メガー方式による不良がいしの検出が不可能であった。

 これらを解決するため、不良がいしの耐電圧特性の低下に着目し、高電圧印加時の絶縁破壊現象を検出することによって、不良がいしを検出する方法を確立した。

 本研究の結果、高湿度・重汚損環境下においても、高精度な不良がいし検出が可能で、かつ全面導電釉がいしにも適用可能な高電圧パルス印加型自走式不良がいし検出器を開発し、実用化を達成した。

 不良がいしの発生確率は極めて稀ではあるが、万一不良がいしに雷撃を受けると、がいし離断にいたる可能性があるため、不良がいしの検出は電力の安定供給と保安確保に欠くことのできない重要な保守技術である。

 従前のメガー式不良がいし検出器の課題(汚損状況下で誤判定が生じること、および全面導電釉がいしへの適用ができないこと)を解決するため、原点に立ち返って、不良がいしの特徴である「磁器部クラックにより、がいし絶縁が著しく低下する」事象を確実に検出する方法を検討した結果、絶縁抵抗ではなく耐電圧に着目し、高電圧を印加してクラック部の絶縁破壊を検出する手法を確立した。これは画期的な内容であり、高く評価できる。また、がいし連上を自走して検出するためには、小型・軽量・低消費電力化が不可欠であり、小容量電源で短時間高電圧が得られるパルス電圧発生方式の採用により、実線路への適用を可能とした。このこともやはり実用性において大いに評価できる。

 本研究成果は、従来手法では不可能であった条件における不良がいし検出を可能とし、電力設備の保守技術向上に大きく寄与するものである。

 電気学会は、この成果を称えて、中神正樹氏(中部電力㈱)、秋月優宏氏(日本ガイシ㈱)に、2007年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 中神 正樹,石川 和明,岡田 英幸、澤野 謙二,秋月 優宏,伊藤 進、2005年、平成17 年電気学会全国大会
[2] 中神 正樹,石川 和明,岡田 英幸、澤野 謙二,秋月 優宏,伊藤 進、高電圧パルスを用いた自走式不良がいし検出器の開発、2005年、平成17 年電気学会電力・エネルギー部門大会

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キーワード

不良がいし、高電圧パルス、診断、送電、監視、ロボティックス
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