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高熱伝導固定子コイル絶縁

従来の固定子コイル絶縁(熱バリア)の設計改善と発電機出力密度増大

図1 従来の固定子コイル絶縁(熱バリア)の設計改善と発電機出力密度増大

高熱伝導絶縁の温度低減効果 (三相短絡温度上昇試験)

図2 高熱伝導絶縁の温度低減効果 (三相短絡温度上昇試験)

間接冷却発電機の容量拡大

図3 間接冷却発電機の容量拡大

 近年、タービン発電機においては高効率・高信頼性に加えて、高いメンテナンス性、低いライフサイクルコストが要求されるようになってきている。タービン発電機の中でも固定子コイルの冷却に水素間接冷却方式を採用する発電機は、水直接冷却方式の発電機に比べて構造が簡易で、多くの運転実績を有す。水素間接冷却方式発電機は、固定子コイル冷却用の付帯設備が不要なため運転が容易であり、メンテナンス性と高信頼性の要求に応えることができる。しかし、水直接冷却方式に比べて冷却性能が低いため、発電機体格が大きくなり、機器の大型化や大容量化が難しかった。

 この問題を解決するために、われわれは世界で初めてタービン発電機固定子コイル用高熱伝導絶縁システムを開発し実機適用に成功した。この技術により、固定子コイルの冷却効率を向上させることが可能となり、従来は水直接冷却方式の設計・製造領域であったクラスの大容量発電機を、水素間接冷却方式で実現することができた。

 開発した高熱伝導固定子コイル絶縁システムを水素間接冷却タービン発電機に適用し、同設計の通常絶縁の機器と比較したところ、同じ体格で10~15%以上の出力向上を達成でき、効率も向上した。これにより、従来は水直接冷却方式を採用している大容量発電機に、構造がシンプルでメンテナンスが容易な水素間接冷却方式が適用できることを検証できた。2005年度には、水直接冷却発電にかわる高熱伝導固定子コイル絶縁システムを採用した次世代大容量水素冷却発電機として560MVA級タービン発電機(国内IPP向け)を完成し、高熱伝導固定子コイル絶縁の優れた性能を確認した。この他、高熱伝導固定子コイル絶縁は複数の実機(海外)に適用され、営業運転の実績を積んでいる。

 以上のように、従来と同等の信頼性を確保しつつ、機器の高効率化や大容量化、そして冷却構造の簡素化が図れる本技術は、発電機をはじめとする重電機器の発展に寄与することが大であり、かつ使用材料の低減による省資源化、効率向上によるCO2排出量の削減など、環境に対しても大きく貢献することができる画期的な開発である。

 電気学会は、この成果を称えて、幡野浩氏(㈱東芝)、関戸忍氏(東芝アイテック㈱)、山田利光氏(㈱東芝)に、2006年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] M. Tari, K. Yoshida, S. Sekito, R. Brutsch, J. Allison, A. Lutz、HTC Insulation Technology Drives Rapid Progress of Indirect-Cooled Turbo Generator Unit Capacity、2001年、IEEE PES Summer Meeting in July-2001
[2] M. Tari, K. Yoshida, S. Sekito, H. Hatano、IMPACTS ON TURBINE GENERATOR DESIGN BY THE APPLICATION OF INCREASED THERMAL CONDUCTING STATOR INSULATION、2002年、CIGRE Session - 2002 August, Paper No.11-105
[3] 関戸忍、山田利光、河原誠、タ-ビン発電機固定子コイル高熱伝導絶縁の開発、2003年、火力原子力発電, 2003 5, No.560, Vol.54

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タ-ビン発電機、固定子巻線、絶縁、冷却、熱伝導率、温度低減、回転機、誘電・絶縁材料
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