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大容量高効率STATCOMの開発と運用

±80MVA-GCT-STATCOMの主回路構成

図1 ±80MVA-GCT-STATCOMの主回路構成

神崎変電所に設置されているSTATCOMレイアウト

図2 神崎変電所に設置されているSTATCOMレイアウト

変換器と変換器用変圧器の仕様

表1 変換器と変換器用変圧器の仕様

電力系統の大規模・複雑化および規制緩和などで増大する電力融通、短絡容量増加に対応するため、自励式BTBがその高機能性から注目されていた。しかし、変換器のスナバ回路で発生する損失が大きいという課題があった。そこで、新素子であるGCTサイリスタを適用することにより低損失化、コンパクト化の検討を実施し、BTB構成の一部であるSTATCOMを、GCTサイリスタを適用して開発し、低損失、コンパクト化を実現した。また、電圧安定化を目的に、本装置を関西電力神崎変電所に設置し、2004年(平成16年)6月からの実運用によりその有効性を確認できた。

本装置は、GCT素子を適用することで、スナバレス化による低損失化だけでなく、高調波を抑制する特殊なPWM制御の適用や3レベル変換器構成とすることにより、高調波フィルタの省略、変圧器の多重段数の低減などコンパクト化も達成した。また、制御機能として変圧器偏磁過電流抑制制御などの適用により、系統事故時でも安定した運転継続が可能となった。さらに、既設変圧器タップとの協調制御により事故時の出力容量確保と消費電力の低減など効率的な運用が可能となっている。

本開発品は、従来のGTO-STATCOMと比べて低損失化、コンパクト化および系統事故時の運転継続機能の点で大きく優れている。低損失化については、GTO変換器が2.0%であるのに対し、1.2%に低減することができた。また、設置面積を従来の約63%まで大幅に縮小することができた。さらに、運開後に9回発生した上位系系統事故時において設計どおりの継続運転性能、電圧補償効果を確認できた。通常運転においても、既設変圧器タップと協調して出力制御が行われ、事故時の出力容量確保と消費電力低減が達成できた。

開発したGCT-STATCOMを用いて自励式BTBを作成した場合、1500MVAベースで他励式BTBと比較すると、設置面積は約50%に縮小でき、コストについては約80%に削減できる。また、損失については、他励式が1.2%に対して、自励式は1.4%(GTOの場合は2.3%)と他励式と遜色なく実現できる。

電気学会は、この成果を称えて、米沢比呂志氏(関西電力)、寺本仁志氏(三菱電機)、船橋眞男氏(東芝三菱電機産業システム)に、2006年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] Toshiyuki Fujii, Sadao Funahashi, Naoki Morishima, Masahiro Azuma, Hitoshi Teramoto, Naotaka Iio, Hiroshi Yonezawa, Daisuke Takayama, Yoriko Shinko、A +/-80MVA GCT STATCOM for the Kanzaki Substation、2005年、IPEC Niigata
[2] 米沢比呂志、井村肇、新木依子、天満耕司、船橋眞男、寺本仁志、STATCOMによる電圧安定度の向上、2004年、電気学会 電力技術研究会
[3] 森島直樹、船橋眞男、藤井俊行、竹中清、高崎晶洋、米沢比呂志、高山大輔、新木依子、東正弘、寺本仁志、飯尾尚隆、大容量高効率STATCOMの開発と運用、2005年、電気学会 全国大会

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STATCOM、GCT、大容量高効率、特別3パルスPWM制御方式、変圧器偏磁過電流抑制制御、3レベル変換器、電力系統、パワーエレクトロニクス、制御
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