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新幹線用電圧変動補償装置の開発と実用化

 新幹線に代表される交流電気鉄道は単相層負荷であるため、列車走行に伴う負荷変動によって電鉄変電所両側の回線電力が不平衡になる場合、三相側も三相電圧不平衡となり電圧変動が大きくなる。電気技術設備基準および解釈では、三相電圧不平衡率は2時間平均で3%以下と定められている。

 交流電気鉄道に起因する三相電圧変動補償対策として、変電所の受電側において他励式サイリスタを用いた静止型無効電力補償装置や、自励式電力変換装置を用いた静止型無効電力発生装置などが実用化されている。これらの技術に対して、き電用変圧器二次側において単相2回線の母線に電力変換器を接続し、回路間の有効電力融通と無効電力補償を同時に行うことにより、三相不平衡補償と電圧変動補償を実施し、さらに列車から発生する特別高圧の高調波電流を補償する機能を持つ電圧変動補償装置を開発し、東北新幹線盛岡・八戸間延伸に伴い、2002年12月に2箇所の変電所で実運用を開始した。

 本装置は、受電電圧よりも低いき電側での対策のため、絶縁低減によるコストダウンが可能である点、さらに受電停止時にはき電回路の末端として電圧下降補償が可能であるなど多くの利点を持っている。

 2変電所に設置された総容量20MVAの本装置に関して、試験列車走行時の現地試験の結果、三相受電電圧の変動を規定値以内に抑制できることを確認した。また、高調波補償機能、き電電圧補償機能も所定の性能を満たしていた。このように、大きな電圧変動が予測される弱電地域に交流電気鉄道を建設する場合には、変電所への本装置の設置が有効な電圧変動対策となり得ることが確認された。

 鉄道側から見ると、超高圧の強力な電源を得難い地域であっても新幹線の運行を可能とする技術であり、受電側の制約を小さくすることから建設費の低減や列車運行の安定化につながっている。また、三相電圧変動の補償と高調波の抑制は、電力系統の全体の品質向上として一般需要家の環境改善となっている。さらに、大容量電力変換器の製作および制御技術の向上は、FACTSなどの技術の一環として広く電力事業全般の高付加価値化と安定性向上に資するものであり、画期的な開発である。今後もJRなどでの普及が期待される。

 電気学会は、この成果を称えて、安藤政人氏(東日本旅客鉄道㈱)、加藤敬義氏(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)、兎束哲夫氏((財)鉄道総合技術研究所)に、2006年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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