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多入力PSSの開発と実用化

多入力PSSの構成

図1 多入力PSSの構成

電力系統シミュレータにおける4機系試験系統

図2 電力系統シミュレータにおける4機系試験系統

遠隔地からの送電電力を増大させるための安定度向上技術は、電力輸送設備の有効活用、コスト低減の面から重要である。当時、長距離大電力送電時に発生する長周期動揺を抑制する対策の一つとして、発電機の励磁制御装置に有効電力と回転数を補助制御入力とする電力安定化装置(PSS)が実用化されていたが、より一層、送電電力を増加させるためには、これよりもさらに長周期動揺抑制効果の高い制御方式が望まれていた。

開発者らは、長周期動揺現象が無効電力の変化に顕著に現れることに着目し、従来の有効電力と回転数に加え、無効電力と電圧・有効電力の変化速度を入力とすることにより、長周期動揺抑制効果の高い「多入力PSS」を開発した。また、あわせて、適用発電機の運転状態に応じた実用的な定数設定手法を開発した。

多入力PSSは、東北電力東新潟火力発電所2号機に設置され、2002年(平成14年)6月14日から運用を開始した。系統事故などの擾乱時における発電機のフィールドデータの計測により、高い動揺抑制効果が検証され、実用化に至っている。

多入力PSSは、電力中央研究所、東北電力、日立製作所の共同研究により開発され、2002年(平成14年)6月に初号機として東北電力東新潟火力発電所2号機(60万kW)に導入された。開発された多入力PSSは、長距離大電力送電系統において長周期動揺の抑制に優れた効果を発揮し、試作機によるシミュレータ試験において、従来型PSSに比べ5~10%の送電電力の向上効果を確認した。適用に当たっては、ΔP+Δω型PSSのソフトウェアの変更のみで多入力PSSを構成できるため追加コストが大幅に少なく、コストパフォーマンスの点でも優れている。さらに、その定数設定も、既設PSSの制御定数については変更せずにそのまま利用できるため、容易である。

多入力PSSは、従来型PSSに新たな入力を追加するという従来技術とに継続性に加え、比較的簡単かつ安価な対策で大きな効果が実現できる着眼点の優れた開発であった。

電気学会は、この成果を称えて、北内義弘氏(電力中央研究所)、白崎隆氏(東北電力)、天野雅彦氏(日立製作所)に、2004年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 北内義弘,谷口治人,白崎 隆,市川嘉則,天野雅彦,萬城 実、多機系統における長周期動揺抑制用多入力PSSの定数設定法とその実験的検証、2002年、電気学会 論文誌B,122巻1号
[2] Y. Kitauchi, H. Taniguchi, T. Shirasaki, Y. Ichikawa, M. Amamo, M. Banjo、Experimental Verification of Multi-input PSS with Reactive Power Input for Damping Low Frequency Power Swing、1999年、IEEE Transactions on Energy Conversion Vol. 14, No. 4, December 1999
[3] 北内義弘、長距離大電力送電系統の安定度向上のための発電機励磁制御方式の開発、2004年、電力中央研究所 総合報告 T76

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電力系統、系統安定度、電力系統安定化装置、発電機、励磁制御、多入力PSS、回転機、制御、電力系統
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