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気体力一効果による非接触空間電界測定装置の開発

 気体中の電界を測定する方法としては、電気的ないし光学的グローブを用いた手法が一般的であるが、この手法ではグローブを測定空間に配置するために対象空間本来の電界分布を乱すという欠点が生じる。被測定物である媒質そのものが持つ電気光学二次効果(カー効果)を利用すれば、原理的には対象に擾乱を与えずに被接触計測が可能である。しかしながら気体のカー定数は液体のカー定数の千分の1程度と小さく、電界測定への応用は困難とされてきた。開発者らは、レーザ光源に位相変調機能を組み込み光学的に信号を変調することにより、気体カー効果による微小な信号を測定できる技術を確立し、気体カー効果による電界測定システムを構築している。これは被測定空間にレーザを伝播させ、その偏光状態の変化を観測するだけで電界が観測できるという、測定装置では理想的ともいえる被接触電界測定システムを実現したものである。このシステムを用いて、実用電力機器で用いられる0.2~0.5MPaのSF6、窒素、CO2ガス内での直流平等電界、さらに大気圧空気中の交流電界の測定に世界で初めて成功している。その後も精力的に適用範囲を拡大する研究が続けられている。

 放電現象を伴う空間の電界計測には、測定対象である放電空間に与える擾乱が少ないことが強く求められている。従来の放電空間にグローブなどの電界センサを挿入する手法では、この要求に応えることが難しいのが現状である。開発者らが開発した気体カー効果による電界分布計測システムは、気体自身の複屈折を利用した被接触測定法であり、被測定対象空間に全く擾乱を与えることなくその電界を定量的に測定することを世界で初めて可能としたシステムである。また、空間分解能も入射レーザ光のビームの大きさまで得ることができ、従来方式と比べて著しく高く、しかも光伝送なので信号は電気的雑音の影響も受けないという特長を持つ。開発者らはガス絶縁機器で現在広く使用されているSF6を始め、最終的には大気圧空気中の電界測定に成功している。さらにガイシの部分放電検出など、本測定システムの機器の絶縁診断への適用可能性を検証している。気体カー効果を用いた電界測定法は、今まで不可能であった放電が発生している空間や電荷が存在する空間の電界を、被接触測定できる技術であり、放電プラズマ、絶縁、高電圧分野に与えるインパクトは計り知れない、画期的な開発である。

 電気学会は、この成果を称えて、日髙邦彦氏、熊田亜紀子氏(東京大学)に、2004年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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