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超電導限流変圧器の開発-超電導変圧器と超電導限流器との複合多機能化-

超電導限流変圧器(SFCLT)の限流動作・電力動揺シミュレーション

図1 超電導限流変圧器(SFCLT)の限流動作・電力動揺シミュレーション

NbTi線材を用いた超電導限流変圧器(SFCLT)の設計・製作

図2 NbTi線材を用いた超電導限流変圧器(SFCLT)の設計・製作

NbTi線材を用いた超電導限流変圧器(SFCLT)の限流試験

図3 NbTi線材を用いた超電導限流変圧器(SFCLT)の限流試験

 超電導電力機器と背後電力システムとの構成・運用上の協調(システムコ-ディネーション)の観点から、超電導変圧器に限流機能を複合化させた「超電導限流変圧器(SFCLT)」を構想・開発し、次世代の電力システムにおける新機能創製の可能性を示唆した。まず、SFCLTを500KV基幹系統の主変圧器として想定した1機無限大母線モデル系統において、EMTPによる動作シミュレーションを行った。その結果、SFCLTが限流機能を持つことによって変圧器としての漏れインピーダンスを低減することができ、電力システムの定態安定度の向上に寄与することを具体的に提示した。さらに、変圧器としての漏れインピーダンスと限流器としての限流インピーダンスの組み合せを最適化することにより、系統故障時の過渡安定度の向上にも貢献することを定量的に示した。次に、最適化した動作パラメータに基づいてSFCLTのモデル器(3相、6.25KVA、275V/105V)を設計・製作した。供試SFCLTを機器単体としてのみならず、系統シミュレータに組み込んでシステムとしての動作特性を検証した結果、SFCLTの技術的可能性と電力システムへの導入効果を実証することができた。

 次世代の高性能・高機能・環境適合型電力機器として、超電導技術を応用した各種の電力機器がわが国や欧米諸国において活発に開発されている。従来の超電導電力機器は機器単体としての機能追及に主眼が置かれているのに対して、本プロジェクトにおける「超電導限流変圧器(SFCLT)」は機能の複合化を主眼としている点に特色がある。SFCLTのコンセプトは、変圧器の漏れインピーダンスが電力システムにおいて既に故障電流の抑制機能を果たしているという点に着目して発想されたものである。すなわち、変圧器に本質的に内在する限流機能を積極的に活用することにより、電力システムにおける定態安定度と過渡安定度の向上および両立を図るという点において、本プロジェクトは独創的であると言うことができる。ここで、超電導変圧器が限流機能を持つことによって電力システムの安定度向上に寄与することは、これまでにも超電導変圧器の副次的効果として概念的に指摘された例はあるが、具体的な解析・設計・詩作例は皆無である。特に、EMTPによる動作シミュレーションに基づいて最適化された動作パラメータを有するSFCLTを実際に設計・製作するとともに、系統シミュレータに組み込んでSFCLTの基礎的な限流機能を実証した点は評価に値する。

 以上のように、本プロジェクトにおいて開発されたSFCLTは、機器単体としての高効率化・小型化という従来のメリットに加え、機器の複合多機能化による電力システム全体としての構成・運用の合理化・高信頼度化という新しいメリットの創製を可能とするものであり、画期的な開発である。

 電気学会は、この成果を称えて、早川直樹氏、大久保仁氏(名古屋大学)、長屋重夫氏(中部電力㈱)に、2003年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 加川博明,早川直樹,鹿島直二,長屋重夫,大久保仁、超電導限流変圧器の動作特性と電力システムへの導入効果、2001年、電気学会論文誌B 121巻11号, pp.1572-1578
[2] クルパコン チャチャヴァン,早川直樹,鹿島直二,長屋重夫,大久保仁、高温超電導限流変圧器(HTc-SFCLT)の開発、2004年、電気学会論文誌B 124巻10号, pp.1193-1199
[3] 早川直樹,小島寛樹,遠藤奎将,大久保仁、超電導限流変圧器(SFCLT)の開発、2009年、電気学会全国大会シンポジウム, S12-6

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