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ガス遮断器における直流分減衰時定数に対する遮断性能評価法の開発

遮断性能の低下率

図1 遮断性能の低下率

 遮断器が直流分を含む短絡電流を遮断する際、直流分減衰時定数の増加に伴い遮断性能が低下することが知られている。

 本研究は、直流分減衰時定数に対する遮断性能を適切に評価することを目的とし、ガス遮断器を対象とした机上検討(熱ガス流解析など)を行い、遮断性能に影響を与える要因(アークエネルギー、電流波高値、TRV、di/dtなど)とその影響度を定量的に明らかにした。また、電流波高値とアーク継続時間を正確に模擬するためのプレトリップ法を用いた等価試験法を提案し、メーカー3社が製造した実遮断器(500KVGCB)を用いて実証試験を行った。

 その結果、遮断性能の低下率はJEC-2300に示された値に比べ約1/2にとどまることを明らかにした。さらに、直流分減衰時定数増大時の遮断可否解析結果と実証試験結果はよく一致しており、開発した評価法が任意の非対称波故障電流に対する遮断性能評価を可能とすることを実証した。

 各電力会社は、電力需要の増大に伴う系統規模拡大に対応するため、基幹系統の整備、増強ならびに送電線の多導体化、大束径化を進めてきた。その結果、500KV送電線故障時の直流分減衰時定数は70~130ms、系統条件によっては150ms以上に達する場合もあり、遮断器にとって極めて過酷な責務となってきている。このような状況の中、設備更新および将来計画を策定するうえで遮断器の遮断性能を適切に評価できる手法の開発が強く望まれていた。

 本研究では、
 ・熱ガス流解析等を用いた評価手法
 ・直流分減衰時定数に対する等価遮断試験法
を開発するとともに、新たな遮断性能低下に関する知見を見いだしている。

 従来は、国内大電力試験場の設備容量制約から、試験実現可能な直流分減衰時定数は最大でも数10msと短く、150msという大きな時定数への対応は困難であった。

 今回、新たに直流分を含んだ故障電流に対する遮断性能評価手法ならびに等価遮断試験法を開発し、直流分減衰時定数に対する遮断可能電流の低下分を実証したことは、世界的にも例はなく今後の大電力試験・評価技術の進歩に大きく寄与する。また、本研究成果は、既設遮断器の更新時期の繰り延べおよび将来計画に対する新設遮断器の容量低減を可能とし、投資抑制をもたらすものである。

 電気学会は、この成果を称えて、熊井俊哉氏(中部電力)、島戸俊明氏(関西電力)、中本哲哉氏(当時TMT&D、旧東芝)、杉山勉氏(当時TMT&D、旧三菱電機)、山根雄一郎氏(日本AEパワーシステムズ)に、2003年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 佐藤正、西尾昌文、高橋一嘉、明谷武彦、馬場重信、腰塚正、西脇進、三宅信之、中本哲哉、野田英樹、直流分含有短絡電流遮断時のアークエネルギーと遮断性能の低下率、2000年、電気学会全国大会
[2] Tadashi Sato, Masafumi Nishio, Koji Kawakita, Shigenobu Baba, Kenji Kamei, Yoshiki Hirano, Akio Kobayashi, Tetsuya Nakamoto, Kunio Hirasawa, Yuichiro Yamane、Influence of the time constant of D.C. component on interrupting duty of GCB、2000年、2000 IEEE
[3] T. Shimato, K. Chiyajo, K. Nakanishi, K. Hirasawa, A. Kobayashi, T.Sugiyama、Evaluation of Interruption Capability of Gas Circuit Breakers on Large Time Constants of DC Component of Fault Current、2002年、CIGRE Session 2002, 13-104

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直流分含有、短絡電流遮断、直流分減衰時定数、アークエネルギー、遮断性能、開閉保護装置、監視
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