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新規残留電荷法によるCVケーブル劣化診断技術の開発

測定回路

図1 測定回路

交流ステップ昇圧課電法の課電パターン

図2 交流ステップ昇圧課電法の課電パターン

現場試験の状況

図3 現場試験の状況

 特別高圧用CV(架橋ポリエチレン絶縁)ケーブルの故障の6割以上は、水トリー劣化によるものである。特別高圧用CVケーブルの場合、水トリーが絶縁体を貫通する前に絶縁性能の低下による破壊が生じるため、水トリー劣化に伴い発生する信号が非常に小さい。また、水トリー劣化は布設環境の影響を大きく受けるために、劣化が局所的に著しく進行していることが多い長距離ケーブル線路の場合、絶縁性能が低下しているにもかかわらず、線路全体から放出される劣化信号は小さいものとなってしまう。これらの要因が診断性能を低下させ、劣化診断を困難とさせている。

 そこで、水トリー劣化診断法の一つである残留電荷法の原理を応用して、課電方法を変えることにより、従来手法では不可能であった長距離線路の局所的劣化の検出を可能とする新たな手法を開発した。また、本手法に基づき絶縁体を貫通する前の水トリーも精度良く測定可能な診断装置の開発を行い、撤去された短尺ケーブルを用いて装置性能を確認した後、既設の長距離線路での試験を重ね、本診断装置の有効性を検証した。

 2000年現在、特別高圧ケーブルは、地中設備に導入されてから設計寿命の30年を経過したものも出始め、更新期を迎えつつある。加えて、最近の厳しい経済情勢下では、使用可能な設備は寿命限界まで使い切るという要望が高まり、精度良い劣化診断法の確立が強く求められている。

 絶縁体を貫通した水トリーの検出により劣化診断が可能な高圧ケーブルにおいては、従来から診断法が確立されているが、未貫通水トリーを検出する必要がある特別高圧用CVケーブルについては、適用可能な診断法は存在していない。

 本技術は、従来のどの診断法でもなし得なかった長距離ケーブル線路内の未貫通水トリーによる局所劣化を精度良く検出できる画期的なものである、さらに、この手法に基づいて、自動的に測定から残存性能評価まで可能な診断装置を開発し、既存の長距離線路を用いた検証試験において有効な結果を得ている。

 本装置の実用化により、特別高圧CVケーブル線路の劣化診断が可能となり、今後の地中送電線路保守技術への多大な貢献が期待できる。

 電気学会は、この成果を称えて、内田克己氏、宮島和久氏(中部電力㈱)、今博之氏(㈱フジクラ)に、2003年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 宮島和久、内田克己、今博之、渡辺和夫、特高CVケーブル用非破壊劣化診断装置の開発、2003年、電気現場技術、Vol.42、No.489
[2] 宮島和久、今博之、渡辺和夫、内田克己、新規残留電荷法によるCVケーブルの水トリー劣化診断、2005年、電気学会論文誌B、Vol.125、No.2
[3] 内田克己、今博之、特高CVケーブル劣化診断装置の開発、2008年、生産と電気、2008年3月号

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キーワード

特高CVケーブル、水トリー劣化、非破壊診断法、交流ステップ昇圧式残留電荷法、空間電荷、電線・ケーブル、監視
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