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700系新幹線電車における大容量IGBT適用主回路システムの実用化

700系新幹線電車は高速車両の質的な向上を目指して、乗り心地の向上、車内騒音の低減、保守省力化、コスト低減等を図るために開発された車両である。最初の700系は1997年(H9年)9月に落成し、基本性能試験等の走行試験により所期の性能が確認されている。

700系の主回路システムには半導体素子の発展を反映して、従来のGTOに替えて大容量のIGBT素子を高速車両としては世界に先駆けて適用し、軽量化や高効率化を実現した。IGBTを適用した主変換装置は、1996年(H8年)から300系新幹線電車に搭載して多くの現車試験を実施し、最適なスイッチング周波数の選定や、電気機器の騒音低減効果、高調波低減効果を確認した。700系ではこの試験結果を反映して、IGBT適用の主変換装置を中心とした主回路システムを構築した。IGBTの高周波数特性の活用によりコンバータのスイッチング周波数を1500Hzに設定して入出力波形を改善し、主変圧器の高調波損失を抑制して軽量化設計を実施する等、システムの軽量化を図り、主回路機器の出力/質量比で比較すると、300系から約40%も向上している。この質量軽量効果は車体における防振材やアクティブ制振制御装置等の付加による質量増加を相殺して快適性向上に貢献している。

700系新幹線電車は「高速車両の質的な向上」を目指して開発された車両である。開発にあたっては主に車内快適性の向上を目標とし、特に主回路システムには大容量のIGBT素子を適用して高周波スイッチング特性の活用によりコンバータのスイッチング周波数を1500Hzに設定する等、技術革新を応用したシステムを構成し、車両の開発コンセプトを実現している。GTO方式の300系では車内騒音となる磁歪音の低減が課題となっていたが、700系ではIGBTによるコンバータの波形改善効果により主変圧器の磁歪音が抑制され、主変圧器上部で300系の74dBAから700系では67dBA まで5dBAもの大幅な騒音低減がなされている。また、インバータの非同期領域の拡大により、主電動機のパルスモード切り替え音が低減され、台車上部で300系の74dBAから700系では72dBA まで2dBA騒音低減されている。インバータにはベクトル制御を応用してビートレス制御を改善し、トルクリップルやビート音抑制に効果が確認されている。さらに、主回路システム質量は300系の72トンから700系では55トンまで17トンの軽減効果があり、また、IGBTシステムは周辺回路等が省略され、車両のコスト低減にも寄与している。700系では基本性能試験に引き続き、長期にわたる耐久走行を実施し、革新技術の採用のみならず、新技術を採用する際に信頼性の高いシステムを構築するための検証手法を確立したことも評価できる。

700系は、300系の後継車両として東海道・山陽新幹線の次期主力車両であり、この車両に最新の技術を適用することは社会的な影響力も大きく、今後の鉄道業界における高速車両の技術の発展に大いに寄与するものと考えられる。

電気学会は、この成果を称えて、萩原善泰氏(東海旅客鉄道㈱)、桑原卓生氏(㈱東芝)、水口信章氏(㈱日立製作所)、児仁井克己氏(三菱電機㈱)、澤村信雄氏(富士電機㈱)に、1999年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 上野雅之、萩原善泰、八野英美、山下高賢、氏家昭彦、津村信雄、他、700系新幹線電車用主変換装置の開発、1998年、平成10年3月 電気学会全国大会

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