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世界初のOPGWにおける光ソリトン伝送の実証

光ソリトン伝送実験系

図1 光ソリトン伝送実験系

近年の情報化にともなう通信需要の増大に対応して、光通信の大容量化技術の開発が活発となってきている。大容量化には、複数のレーザー光に信号を乗せて多重化する「波長多重伝送」と、非常に短い光パルスを用いて通信を行う「光ソリトン伝送」の両面から研究が進められている。

光ソリトンは光ファイバの持つ非線形性「カー効果」を利用して信号の安定化をはかり、チャンネル当たりの大容量化や長距離通信を行う技術であるが、非線形性を利用する方式であるため伝送路設計が難しく、現時点では実回線には用いられていない。

今回、光ソリトン伝送に適した送受信器の開発、および計算機シミュレーションにより最適な伝送条件を予測する手法の開発に成功した。またこれらを、大黒部幹線OPGW(城端開閉所(富山県)~市荒川発電所(福井県)間:98.2km)に適用し、10ギガビットで784km、40ギガビット(4波多重)で392kmの伝送に成功した。

上記の成果は、世界で初めて光ファイバ複合架空地線(OPGW)における光ソリトン伝送に成功したものであり、フィールドにおける光ソリトン伝送としてもNTTに次いで世界で2例目である。特に、計算機シミュレーションにより最適な光ファイバ分散信号強度を予測し、予測通りの波長で最適伝送となることを実験により実証したことで、光ソリトン通信の実用化に一歩近づける成果と言える。

今回の成果における要素技術として、シミュレーション技術の他に、電界吸収型変調器(EA変調器)を用いた光ソリトン発生技術、約100kmという長中継間隔を実現するための高出力・低雑音光ファイバ増幅器の開発、高精度なファイバ分散測定技術、RZパルス信号に適した受信器の開発、等の新技術を開発、改良しており、将来の光通信技術に対する貢献も大きいと言える。

また、今回の成果は電力会社の既設のOPGWを用いて、大容量マルチメディア通信サービスが可能となることを実証したものであり、今後の事業展開においても重要な基礎となる成果と言える。

電気学会は、この成果を称えて、下浦一宏氏、山下育男氏、金岡泰弘氏(関西電力㈱)に、1999年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 山下育男、青海恵久、猪口勝司、増設を考慮した10Gbits/s12波長多重中継伝送の検討、1998年、平成10年3月 電気学会論文誌C
[2] 下浦一宏、金岡泰弘、山下育男、竹中保、青海恵之、猪口勝司、大黒部幹線OPGWにおける光ソリトン伝送実験、1998年、電気学会通信研究会、CMN-98-36
[3] 下浦一宏、大容量光伝送のフィールドテストについて -波長多重伝送、光ソリトン伝送実験 -、1998年、R&D News Kansai, 1998.6

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ソリトン、光通信、OPGW、フィールド実験、波長多重、その他(電気応用)
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