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落雷位置標定システムの実用化

雷放電によって放射される電磁波を利用した落雷位置標定システムは、1970年代末に米国の研究者の手で開発され、日本にも1980年代初めという比較的早い時期に導入された。しかしながら、位置標定精度と雷の放射する電磁界波形特性の季節による変化への対応の点で、電力系統の運用、雷事故解析、耐雷設計への応用といった実用に供するまでには、性能の面でかなりの隔たりがあった。システムの実用化にあたっては、位置標定精度向上が必要であったが、磁界による電磁波到来方向測定方式では、開発者らの方位測定誤差の研究が大いに力になっている。更に、位置標定精度において優れた到達時間差方式の場合、その方式とその誤差に関して、理論、実証の両面で世界に先行して研究を進め、これらのすべての成果を取り入れた、到達時間差方式によるシステムが開発者らにより開発された。一方、電磁界波形の季節変化に起因する、冬季雷の捕捉性能における欠陥への基本的な対処方法が、開発者らにより1980年代末に考案され、その後実証により確認されている。これらの成果により、各電力会社の落雷位置標定システムが実用化され、日本の落雷頻度マップの作成が可能となっている。

開発者らが実用化した落雷位置標定システムは、従来リアルタイムでは把握できなかった落雷位置を正確に標定できる画期的なもので、電力系統の運用の的確化、耐雷設計の精緻化に貢献している。

落雷位置標定システムでは、落雷による電磁波を識別するために、電磁界変化波形の情報も用いるが、その特性が季節依存性を持つことは、開発者らが世界で最初に発見したものである。米国で設計された初期システムでは、冬季雷があまり捕捉できなかったが、それに対処するために開発者らが考案した方式は、現在世界的に利用されている。

到達時間差方式の落雷位置標定システムは、位置標定精度の面で原理的に優れているが、落雷の識別と、感度較正の面で、1990年代末になっても電力会社における利用が困難であった。この方式のシステムの客観的で詳細な性能評価を世界で初めて実施し、その実用化に途を開いたことには、海外からの評価も高い。この性能評価の結果に基づいて、この種のシステムの生みの親である米国より進んだ次世代の

雷放電位置標定システムを完成し、実用化したことは、この技術分野において画期的である。

最近実現した位置標定方式として、電磁波の到来方位測定と到達時間差を併用した手法があるが、これについてもいち早く理論と実測の両面で研究を行い、小規模なシステムにおいて適切な方式であることを明らかにした開発者らの貢献は大きい。

電気学会は、この成果を称えて、石井勝氏(東京大学)、本間規泰氏(東北電力㈱)、吹山直樹氏(東京電力㈱)、山田勝氏(関西電力㈱)、新藤孝敏氏(電力中央研究所)に、1998年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。


文献

[1] 財満、望月、吹山、北條、石井、到来時間差方式の雷放電位置標定システム(LPATS)による雷放電の観測、1996年、平成8年9月 電気学会論文誌

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