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世界で初めてレーザー誘雷の実証に成功

1993年(平成5年)12月より福井県美浜町嶽山(だけやま)において、レーザー誘雷の野外実験を行っていたが、1997年(平成9年)2月11日23時11分にレーザー照射と同時に落雷が起こり、世界で初めてレーザー誘雷の実証に成功した。

今回の野外実験では、雷雲の接近により炭酸ガスレーザー装置から出力1kJ、パルス巾50nsecのレーザー光線2本を照射し、これらを2台の集光ミラー(主鏡直径50cm、100cm)でそれぞれ反射させ、誘雷塔(高さ50m)の先端および上方にプラズマを生成し、これにより上向きリーダーを誘発させて誘雷塔へ雷を誘導することができた。

このレーザー誘雷とは、ロケット誘雷等と同様にトリガード(Triggered)雷という現象をレーザープラズマにより発生させるものである。トリガード雷を発生させるためには、誘雷塔先端付近に生じているコロナ放電による空間電荷層を突き進んで雷放電の前駆現象であるリーダーを発生させる必要がある。そして、リーダーに引き続いて主放電を生じることにより誘雷が引き起こされるものである。

関西電力管内では、送電線停電事故の半数以上が落雷を原因としていた。特に、日本海沿岸地域では毎年冬季に雷が多発しており、超高圧送電線に2回線事故が発生すると電力系統に及ぼす影響はきわめて大きくなることが予想された。

従来の送電線耐雷対策は、鉄塔塔脚接地抵抗の低減、架空地線の3条化などが実施されており、さらに送電用避雷器の設置などが行われていたが、これらの対策はいずれも落雷が発生してからの受動的対策である。これに対してレーザー誘雷とは落雷が発生する前に雷放電を安全な場所に誘導し、未然に雷事故を防止する能動的対策である。

能動的対策の1つであるロケット誘雷の野外実験は、アメリカ、フランス、日本などで活発に行われてきており、誘雷成功数は多いが失敗した場合、ワイヤーが送電線へ接触し地絡事故に到るという問題点があるが、レーザー誘雷はこのような問題はない。

レーザー誘雷の野外実験は、1970年代にアメリカにおいて実施されていたが、十分な強さのプラズマを作ることができなかったために成功しなかった例がある。また、国内では、電力中央研究所、九州大学(九州電力)等でレーザー誘雷の基礎的な実験を屋内外で実施している状況であった

今回のレーザー誘雷の成功により、雷雲が接近したときタイミングよくレーザープラズマを生成すれば雷を誘導できることが確認でき、今後の送電線耐雷対策への反映が期待され、この成功の意義は大きかった。

電気学会は、この成果を称えて、足立幹雄氏(関西電力)、山中龍彦氏(大阪大学)、河崎善一郎氏(大阪大学)、内田成明氏(レーザー技術総合研究所)に、1998年、電気学会振興賞(進歩賞)を贈呈した。

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